Reno

エコーのRenoのレビュー・感想・評価

エコー(2024年製作のドラマ)
5.0
全5話一挙配信で良かった✨

アメリカ先住民、チョクトー族の末裔であるマヤのアイデンティティに迫る作品で、ブラックパンサーやMs.マーベルのように被白人コミュニティに寄り添った良い作品✨

とはいえ、まだ欠点も感じる作品で、こういうHBOっぽさを少しでも感じられる上品さは欲しかったもので嬉しいけど、シナリオも秀逸だったかというとそうともいえず。かつてのデアデビルなどと同じ大人向けなトーンで、独立性高くてキャラクタードリブンの特別な作品ですと言えば聞こえは良いけど、デアデビルやジェシカなどのように上質な人間ドラマやスリラー要素があるわけでもなくそういう面では至らなさのある作品だったと思う。マヤの人生にフォーカスした作品ではあるけど、そこらへんも全5話使って上手に作れてたかというとすごく平凡な出来栄えだったかなと。



★ネイティブアメリカン★
各話冒頭は、過去のネイティブアメリカンの女性達を描き、本作のテーマであるネイティブアメリカンの魂のつながりを、上質なシーンで表現していてグッと心を掴まれました。

フィナーレのラストでは、チョクトーネーションへの謝辞も挿入されていて、こうして世界的に人気のあるブランドを通して様々な民族のレプリゼンテーションを作ることの意義をすごく感じたし、今後もこんなふうに色んな人々にスポットを当ててほしいなと思いました。


★マヤ・ロペス★
マヤのエコーとしてのオリジンがすごく良かった!!エコーは戦術コピーの戦士というコミックの設定からかなり変えているけど、それが上手くキャラクターの発展につながっていて、コミックよりも濃く深みのあるキャラクターになっているところがさすがMCUだなと。Ms.Marvelやエターナルズ、シャンチーなどと同じように現実に当てはめて、様々なマイノリティや非白人のエンパワーメントに繋げるという素晴らしい工夫。

ネイティブアメリカンの一族の祖先達の魂がエコー(こだま)する、だからエコーというのもすごく素敵✨

祖父スカリーが作ってくれたマヤの義足と衣装もネイティブアメリカンのルーツが詰まっていて、すごく素敵でした!!

せっかくこんな素敵なヒーローになれたんだし、また色んな作品で他のヒーローと共闘してほしいなって気持ちと、この素晴らしい作品を通してマヤが日の当たる場所で家族と幸せに過ごせるようになったんだからこのままマヤには穏やかに過ごしていてほしいという気持ちと両方ある笑

ラスト、フィスクを倒すのではなく、自分がそうしたように、自分の中の傷に向き合って怒りを手放し、前に進まなきゃと教えようとするのがすごく良かった!!これこそ今のヒーローだよね。戦いや勝ち負けではない終わりを求める。すごく現代的で好みな終わり方。エターナルズとか現代のディズニー作品の多くもこういう方向性が描かれて良い時代だよね。とはいえフィスクはこれでライトサイドには戻れないんだけどね、、

エコー、次にどの作品でどんなふうに再開できるか分からないけど今後もこの素晴らしいキャラクターがたくさん輝く場を与えられて、世界中の聾者、義足の人々、ネイティブアメリカン、さらにそうでないファンみんなをエンパワーメントできること願ってます!!

★不評への理解★
この作品を面白いと思えない意見も分かると言えばわかるんですよね。確かにこの作品、どういうゴールに向かいたいのかはあんまり分かり易くなかったと思う。(特に序盤では。)フィスクに復讐した後のマヤが何をしたいのか、どうしてそうしたいのかとかはしばらく曖昧だったし、フィスクも今はどんなことしてるのかとか終始曖昧。そこら辺はまだマーベルスタジオも、マーベルテレビジョンの過去のドラマ達みたいにドラマ作りの腕が成熟してないなと思わされた。マヤの倫理観とか、人間性は意外にもはっきり伝わり切らないまま序盤が進んでいくから、確かにあまり今作をよく思えない人が出るのもいるだろうなとは思う。

あとプロモーションだと、『デアデビル』ファンを引き込むための戦略がとても強くて、ビジネスとしてそれは正解だし悪いとも思わないけど、実際は当然マヤとネイティブアメリカンコミュニティの物語だから、その乖離もプロモーションに騙されていた人からするとダメだったのかなって。すごくフィスクやデアデビル、『デアデビル』みたいな大人向けバイオレンスな作風が強調されてたけど、それらはあくまで要素の一つだからね。でもここを売りにすることで、これまでのファンをこの新しい物語に引き込みたいっていうマーベルの気持ちはすごくわかるし、当然だから悪かったとは思わない。

★シドニー・フリーランド監督★
今作の監督であるシドニー・フリーランドはもちろん自身もアメリカ先住民の末裔。ナバホ族に生まれたトランスジェンダーの女性だそうで、私自身、トランスジェンダーのマーベルファンなので、MCU作品でトランスの女性がこんな大役を務めていることがとっても嬉しかったです!!!✨
今後作品内でもトランスジェンダーのヒーローがたくさん出てきてくれることを願います。


★ボニー★
マヤのいとこであり親友のボニーを演じたのは同じくアメリカ先住民の若者を描いた高評価ドラマ『Reservation Dogs』の主演でおなじみデヴリー・ジェイコブス!直近では同じMCU作品の『What If…?』でもアメリカ先住民のスーパーヒーロー、カホーリを演じていましたね!

てっきりこの作品では小さい役かと思ってたけど、マヤの人生においてとても大切な人物で、フィナーレまで大切なポジションを担っていましたね!

さすがにマヤほどのものは抱えていないけど、マヤの自分にとって大切な存在だからこそ、今の色々経て変わってしまった自分では会いに行けない、会いたくても今はダメだと思ってしまう気持ちはすごくわかる。私の場合は、結構昔の学校の先生とか、そういう人たちが会いたいと思いつつ、今の自分は全然自立した大人になれてなくて、会えないなとか思っちゃってる。全然規模が違う話だけど。


★祖父母のチュラとスカリー★
これまた二人が良いキャラしてた、、
離婚した老夫婦の絶妙な良いパートナーシップがすごく素敵に描かれていて、こういうの大好きなんだよね

結婚とか恋愛が終わりを迎えても、とても良い人生のパートナーであり続ける二人とか大好き!!


★マーベルスポットライト★
今作はマーベルスタジオが、他のマーベル作品を見ていない人にも積極的に見てもらうための、より独立性が高く、地に足ついたCharacter Drivenの物語を届けるための新しい枠組み、マーベルスポットライトの第一弾。

ということで、第一話冒頭ではドラマ「ホークアイ」を通して描かれたマヤの過去も、今作で初めて描かれるマヤの過去も同等に作品内で美しく滑らかに語られていて、「ホークアイ」を見ていなくても全く問題ない仕様。時系列でマヤの人生をダイジェストした冒頭のシークエンスとても分かりやすかった!

ウィルソン・フィスクとの関係、その中でのデアデビルとの戦闘など、他作品と地続きの作品でありながら上手に今作だけで全てを語り尽くす滑らかさが素晴らしかったです!!

今後もこのスポットライトの枠で、色んな作品みたいですね!噂では「ワンダーマン」やオコエ達ワカンダの人々を描く「ミッドナイトエンジェル」もスポットライトの枠になるのではないかとも。また映画の方でも「ブレイド」がスポットライトの枠になる可能性も考えられるよね。どうなるかな!

とはいえ、この作品かなり「デアデビル」や「ホークアイ」ありきの作品として作られてるので、わざわざスポットライト扱いにする必要があったのかは疑問。そもそもMCUって繋がってはいても、単作で楽しめるようにをすごく心掛けて成功したブランドだったわけだし、果たしてこの作品だけ特別独立していたかというとねえ、、他作品との繋がり度合いも、キャラクターへの寄り添い度合も、良くも悪くもいつも通りな気がしてしまいました。ていうか絶対最初からスポットライトとして企画されてなかったはずだしね、エコー。多分マーベルが最近の色々を鑑みて、できる限り良いイメージで多くの人に見てもらいたいと思って、わざわざこんな半ば無理矢理なアピールをしたんだろうね。まあ別に良いけど。

★ウィルソン・フィスク★
今作ではようやくあの「デアデビル」から地続きのウィルソンを見れたなという満足感がありました!!ついに本作では、ウィルソンの子ども時代のあの事件も本格的に物語に組み込まれ、はっきりとマーベルテレビジョン時代の「デアデビル」達、ディフェンダーズ関連作もMCUのカノンだと正式認定!!ここまで長かった、、

けど良かった、、「ホークアイ」や「ノーウェイホーム」「シーハルク」の小さな積み重ねがありつつ、長いことマーベルスタジオはマーベルテレビジョン時代の作品を別アースに放り出したんじゃないかと不安にさせられていたけど、ちゃんとマーベルスタジオが正しい決断してくれて本当に嬉しいです。無事ディズニープラスのMCU時系列の中にもジェシカ達含めしっかり入っていて、やっとだなって。

とはいえ、『デアデビル』ファイナルシーズンのあの完璧なマットvsフィスクの決着の後、なぜフィスクがまた刑務所を出て権力を持ち暗躍してるのかは相変わらず謎だけど。

マーベルスタジオによる『デアデビル ボーンアゲイン』ではリキャストされたヴァネッサが出ることが決定してるけど、もしかして『デアデビル』の最終回でカレンが心配してたように、ヴァネッサが何かの事情で死んでしまって、だからまたフィスクが外で活動し始めちゃったとか?笑 それかもしかしてサノスのスナップのとき、デアデビル達が消滅組で、それでまた好き放題やり始められたとか?あの頃のドラマのキャラクターでは、フィスクが消えた側じゃないことしか分からないから他のみんながどっちだったのか気になるね!

そして今作のフィナーレ、ミッドクレジットシーンでは噂通りフィスクがNY市長選に出馬しようとすることが示されていて、早く『デアデビル ボーンアゲイン』見たいってなった!!


★おまけ : 過去のマーベルテレビジョン★
さあ、今後はジェシカやルーク、アイアンフィスト、コリーン、ミスティなどあの頃のみんながまた続々と新作にら戻ってきてほしい!!特にアイアンフィストに関してはこれから!ってところで終わってたからね〜

あとあの頃のドラマでは、ヴィランサイドでもかっこいいポインデクスター(ブルズアイ)や多重人格のメアリー・ウォーカーがこれからってところで終わってたから、これらの人々もちゃんと拾ってほしい!!サンダーボルツとかぜひこの人たちも入れてくださいよ!!笑

そうもう一つ言いたいのは、ディフェンダーズ関連作だけでなく、これまた思い入れのある『ランナウェイズ』や『エージェンツオブシールド』などその他のマーベルテレビジョン作品もちゃんとMCUのカノンとして認めてね!ってこと!!これらも当然、当時はMCUの一部としてスタートしてた作品なんだから、これらもちゃんとMCUのカノンだと認めてもらわなきゃ!!

お願いだよ!!デイジーやニコ、カロリーナ、クローク&ダガーの帰還を待ってます!!
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