トケグチアワユキ

優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

3.5
テレビ東京が年始に岡田惠和の脚本で単発ドラマを2年連続で放送した。
シリーズ化するつもりだろうか。

今年は瀬尾まいこの原作モノ。
去年は石橋冠が監督で制作はオッティモ/ホリプロ(主演が石原さとみだからね)だったが、今年は若松節朗でユニオン映画だ。
画づくりはさすがフジテレビのドラマ全盛期を支えた御大。
オープニングから空撮が堂に入っているし、去年のような2時間ドラマ感は消えている。

岡田惠和といえば、難病/不治の病が定番なんだが、今回は原作モノということで、事故で大切な家族を失った人々の物語。
千波(土屋太鳳)は乗っていた電車が遅れたことで、兄が救急搬送される場面に出会し、タケル(永山絢斗)は自らのワガママから父母を交通事故で失った過去を持つ。

正直、ストーリー自体はいかにも文字で表現されたものだなという印象。
ハプニングの連鎖でストーリーが出来上がっている。
本で読むと切なく愛おしい良質なラヴストーリーかもしれないが、映像化するとさすがにちょいとご都合主義的かな。
映像化って、何も起きてないところが大事だったりするからね。
だからストーリーには直接影響しないヤン車借りてドライヴの場面、これはこれであってもいいと思うんだけど、ドライヴァーが自ら車酔い→カーステでクラプトン→千波の父母と遭遇とか、なんか笑っちゃった。サクサク進むとかいうレベル越えて立て続け感。
うまく話が運びすぎて、苦悶するシーンなんかが嘘っぽくなっちゃうんだよなぁ。
演じてる俳優の雰囲気もあるんだけどね。
土屋太鳳や安田成美の悲哀感/悲壮感ってサラッとしたコットンの肌触りなんだよ。
微妙だよねぇ。

手堅く破綻なくまとめる岡田惠和と若松節朗はさすがの手際だけど、観ごたえの部分はどうかな。
まあ、正月からそんなにずっしりしたドラマ観たいか?と問われれば、確かにこれぐらいがいいのかもね。