DZ015

ステーション・イレブンのDZ015のレビュー・感想・評価

ステーション・イレブン(2021年製作のドラマ)
4.1
「Survival is insufficient(生き残るだけでは不十分)」

現実世界だけで十分なのでパンデミックを描く作品は避けているのだけど、これは文明が崩壊して20年後を描くポストパンデミック作品ということで興味が。全10話。

毎話主役が異なり時間軸も20年単位で交錯するのでなかなか大変ですが、丁寧なインサートカットによる優しい演出で混乱することはありません。聞こえますかノーラン監督。

さまざまな世代の人間で構成された「我が家」のようなシェイクスピア専門の旅劇団という下手すれば新興宗教やスピリチュアル系の広報映画みたいになりそうな設定ながら、数々のエモーショナルな仕掛けと示唆に富むセリフによりまったくそんなことがない。

SFなのに物語から立ち上がってくるのは「ただ一緒にいること」の大切さ。殺伐とした世界で人々がよすがとしているのが「芸術」であるのは嬉しいけれど、芸術が真っ先に切り捨てられたこの国を思うと強力な虚無感。

これほど「今」に相応しい内容なのにドラマシリーズ化はパンデミック以前に決まっていたそう。映画やアニメで度々あるこうした偶然を超えたシンクロニシティをナオキマンさんに深掘りしてほしい。
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