DZ015

私の解放日誌のDZ015のレビュー・感想・評価

私の解放日誌(2022年製作のドラマ)
4.7
人生一泣いたドラマ「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」の脚本家パク・ヘヨン新作ドラマ。またしてもいいように揺さぶられた。嗚咽の応酬だった「マイ・ディア・ミスター」に対しこちらは切なさの応酬。文字通り胸がキューっとなるシーン目白押しで降参。美しい言葉、セリフの宝庫。「私の解放日誌名言集」を出版して欲しい。

「俺は小雨のような人間なんだ」

なんてセリフ、日本のドラマではまずお目にかかれないと思う。きっと翻訳も素晴らしいのだと思う。

何かが起こりそうで起こらない、淡々とした物語ですが間違っても倍速視聴など厳禁。多くの大切なものを見落とし、聞き落とします。さまざまな暗喩と繊細すぎる演出。カメラワークも素晴らしく、ちょっとしたカットに息を呑むこの感じはドラマではあまりない気がする。

多くの人が自分自身の背中を叩いて一歩一歩と歩かせねばならない時代。時には歩くのをやめてしまいたくなる時もある。そんな自分を優しく肯定してくれるドラマ。自己再生と赦し、
キリスト教色濃いめ。抱えてない人などいないでしょうが、抱えてる人にこそ見て欲しい大傑作。

「マイ・ディア・ミスター」もそうでしたがパク・ヘヨン作品に登場する人々には愛着がどんどん深くなっていき、終わってしまうと彼らに会えない寂寥感がハンパじゃないのです。だいぶ気色悪いこと言ってるのは自覚してますがほんといわゆる「ロス」に陥るのです。

ク氏の「ヨム・ミジョン!」と呼ぶ声がもう聞けないのがとても寂しい。
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