ひば

バッド・アンド・クレイジーのひばのレビュー・感想・評価

バッド・アンド・クレイジー(2021年製作のドラマ)
5.0
悪党になってはいけないのはもっと悪い奴に利用されるからです。なんて大変な国なんだ韓国。現代版『ジキルとハイド』コメディかと思ったらドラマ版『アシュラ』かもしれん、申し分程度のコメディ…胸糞悪さ9割…下から使い潰され死ぬのはいつも弱者からを合言葉にした擬態型ノワールです。卑劣陰湿狡猾トライアングル、嘘みたいな悪役回転率、極悪こん棒外交、トップオブ下道、許されんだろ。ここは後半に入ればカタギチェック満点生徒を輩出するエリート校だぞ。他人の問題と思っていたら実にシームレスに自分の問題になっている怖さ、逃げても逃げても居場所がないと気づく瞬間、そしてとんでもない"瞬間ゾッ"を引き出すスタッフが身を潜めてる。緩急とか知らん多種な嫌時間しかない、嫌ハーモニーだね…キャストは他の作品で背負った業ぜんぶ負ってるに違いないもう一人格が『他人は地獄だ』のムンジョ先生だったらもっと大変だった!でも陽のムンジョ先生です!怖い!美を捨ておっさん仕草を極めたトレードオフだよ。もう片方は破壊の限りを尽くしボコるだけボコって「謝れ」だけ言ってくるウィハジュン~~~ラブ………ヒロインが信じられんくらい可哀想だよなこんな理不尽なこの世の掃き溜め全部浴びなくたっていいだろうが…最初の2分近く恐怖と悔しさと辛さから暗闇の中ただ歯をくいしばって泣き呻いて始まる回があります。善が罰せられる世の中なのでオギョンテくんに君はここにいてはいけないと説教を…『犯罪都市3』のイジュニョク氏が100人くらいいそうな職場が見れるぞ。
暴力は良い方向にも悪い方向にも解決策にならないとわかる。善のウィハジュンも根本的にはどうにもできない、だが善を行う人間を増やすことはできる。「力のない奴が謝るしかない社会」という台詞からにじみ出る悔しさがとても良い。多分中心にあるのは下っ端はつらいよだと思う。でも踏み外しまくってる人が次の踏み外しをやめようともがく話はすごくよい。善のウィハジュンも根本的にはどうにもできない、だが善を選ぶ人間を増やすことはできる。一人一人の善意の喪失がしっかり重なってチリツモ。善良な心こそ常に側にあるのに悪の存在感で握りつぶされてしまう、「世界は君が思ってるよりいい人が多いよ」の台詞にグッと来た。そして最後に残るのは他人じゃなく自分であり、一貫したセルフケアの話だったんだと感動した。記憶依存型社会をあらゆる方向から吟味しガスライティングがこんなドラマの題材に使われるとは賢いやり方だ。
最後に……わたしたちもっと社長とアンドレイのこと知る必要があるの……なにあれ………な、なに…………?三点リーダー侍もこれには身震い………
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