ひば

パワーのひばのレビュー・感想・評価

パワー(2023年製作のドラマ)
5.0
見たのは結構前だけど、プラウドボーイズという極右組織の名を久々に聞いて思い出した。ある日突然若い女性から電気が出始めたら…という物語。今まで無視されてきた者に与えられた劇物は鬼か蛇か、副産物として生まれたものは自由と権利だった。少し前、電車で痴漢に対し安全ピンを刺すというものがSNSで広まりこれに対し圧倒的批判が集まっていたのを思い出した。電気は人を壊すものでしかない、そうやって、いいやそれを好機と女性の体に関する法律があっという間に決まっていく。安全と自衛をうたい広がる排除、男性が感じる"不平等"、フェミナチとかいう悪魔合体ワード、被験者への配慮がまったく感じられない検査、女性内に広がる選民思想。恩恵を受けられなかった中年女性のセカンドチャンスの物語にも繋がっていくのが意外だった。だが見えてくるのはなぜだろうか、これまでと変わらない頭をすげ替えただけの有害さをはらむ格差社会なのだ。
問題となってくるのは女性のみという縛りを身体性に繋げると反トランス的理論を固める危うさがあるのですがトランス女性や両性具有インターセックスの子も出てきます。そういう良さもある。電気の出し方はヘイトによる武力的ロジックも含むためヘイトパワーでわき出るものなら人に危害を与えるつもりがなくともいつかは人を傷つけることは目に見えている、その予感と最初から常に隣り合わせで綱渡りだ。このパワーはすべての女性が望んだものではない、無理矢理持たされた銃に等しいなら?人類の半分を占める属性が閉じ込められている檻がもし開いたらそこに自由があるのか、自由とはなんだ?もう半分を排除しなければ手に入らないものなのか?排除の先に待っているのは最後の一人になるまで続く排除の理論だ。パワーは元々私たちが隠しもっていた他罰の精神を表に付き出した。わたしたちは自分の体を知る権利を奪われ続けてきた。わたしは、自分を知り問い続けることで自由は手に入れることができるのだと思う、そしてそこにはやはり他者の存在が必要なのだ
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