トケグチアワユキ

雪女と蟹を食うのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

雪女と蟹を食う(2022年製作のドラマ)
4.3
いやぁ、毎週待ち遠しくてたまらないドラマナンバーワン(2022.07.期)。
おもしろかった。


いきなり盛大なネタバレするよ。

行くよ。




最後、死ねばよかったのにぃぃ。


その方が絶対よかった。
まあ、いち視聴者の戯言だけどね。


原作も読んでないし、概要も一切読むことなく、まっさらな状態で観はじめた。
タイトルを見て、まさか道行モノだとは予想だにしなかった。

もう圧倒的に主人公ふたりの閉塞感というか先行きのなさ感、行き止まり感が、キャラ設定として素晴らしい。
男は、痴漢の冤罪で服役し、肉親にさえ断絶され、完全な孤独という寄る辺なさ。
女は、愛する才能のない小説家の妻として自らを切り売りし、その経験を日記の形で夫に提供することで、実質的にはゴーストライターとして生きている。
ああ、この未来のなさったら!!

しかもこんな未来のないふたりが、車を走らせることで次々と未来を生み出していくのだ。
走るだけで明日が現れる。
こんなに希望に満ちた道行が、かつてあっただろうか。
男はやがて自分がすでにリア充だと知り、そこに安住しようとする。
生き長らえようともがき始める。
切ない。
そして、すでに目的が変わってしまった道行から女は距離を置く。

後半、男とキャバ嬢、女と編集者の札幌でのエピソードも、全体の流れにアクセントが出来てよかったし、ホントに次の放送が待ち遠しくて仕方なかった。


ロードムービーである以上、移動しながらの限られた時間での撮影だったのは想像に難くない。
撮影時期が真夏だったのか、天気が良過ぎて悲壮感が空回りするような部分もたしかにある。
「雪女」をイメージさせるのには、入山法子も現場のスタッフも苦心しただろうが、観ていて集中力が途切れてしまうようなこともなく、いいシーンがいくつもあった。

キャバ嬢役の久保田紗友がとてもいいのを付け加えておきましょう。


最後にひとつだけ。
ジャニーズ事務所は出演と主題歌を必ずセットにするけど、相乗効果を発揮しない場合もあるってわからないはずないよね?
今回はぜんぜん合ってないと思う。
セットを条件にするなら、もっと救いのないドロドロのアイドル歌謡をつくってほしい。