斎藤のような男が国を守っている。いや、本人がそう思っているだけでなのかもしれない。日本を守るための必要悪と言われると騙されそうになるけど、それはヤクザな人達が言うセリフ。これは法律とか了見の狭い話しではない。個々の哲学が戦っている。結局、誰を守るのかって事で、国民とか曖昧なものではなく、言葉が交わせたり、目だけで理解し合えたり、後ろ姿が愛おしかったり、姿形は分からなくても、どこかに居るであろう大切な人であったりする。でも、あの政治家は誰でもなく、自分だけを守ろうとしていた。なぜ、それに斎藤は気が付かなかったのか。彼もまた、私欲しか考えられないない魔物に化してしまったのだろう。
これまで見た鈴木亮平の中で最高の鈴木亮平がいた。結局、亮平くんって良い人なんだよね〜という感じで終わるのかと思ったけど、最後まで怪しく、不穏で、如何わしいままだった。こんな役がハマっていたし、こんな役が一番だ。
これまで見た眞栄田郷敦の中で最高の眞栄田郷敦がいた。目力がスゴイのは何となく気が付いていたけれど、本当に彼は天然のイイ奴なんだと思う。夜ドラの時とは違う、大人になりそうなゴードンがいた。ゴードンという名が相応しくなってきた。
これまで見た岡部たかしの中で最高の岡部たかしがいた。これもまた夜ドラ繋がりで申し訳ないのだけれど、卑しく、浅ましい男をやらせたら天下一品。でも、本当は熱血漢という、どこから見ても美味しい役。ちょっと呂律が怪しいけど、そんな好物を引き寄せる何かがあるのだろう。
これまで見た長澤まさみの中で、最高の長澤まさみがいた。ナレーションの上手さは「鎌倉殿の13人」でも実証済みなのだけれど、静の演技が素晴らしかった。多分、ここにいる長澤まさみのことは、ずっと忘れられないと思う。それと「贈る言葉」で泣きそうになったのは、これが最初で最後に違いない。誰の選曲だろう?