トケグチアワユキ

差出人は、誰ですか?のトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

差出人は、誰ですか?(2022年製作のドラマ)
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TBSで去年から放送している俳優特化型秋元康式オーディションのグランプリ俳優に与えられるご褒美ドラマのシーズン2。

まずこのオーディションを半年放送し、その後1クール週4帯のドラマを放送するんだが、シーズン2の今回いちばんの見どころは放送前にすでに終わってしまっている。
オーディションの一部として是枝裕和が短いドラマを演出したんだが、ここで是枝メソッドの一部が明かされ、素人のコンテスタントたちが演出を付けられ成長していく様がとても興味深かった。
是枝裕和が直接コンテスタントの中から誰かを選ぶことはないのだが、選ばれるべきひとりが選ばれるべくして選ばれたのがよくわかる。

コンテストのグランプリは視聴者の人気投票で、決勝までは別のコンテスタントが1位だったんだが、決勝で逆転が起きる。
このドラマの主演を務める幸澤沙良が勝つのだ。
人気投票で最終決戦にこういうことが起きるのは、そこまで物言わぬ傍観者がこぞって意思を持って投票行動に出た結果ではないだろうか(まあ、投票数はブラックボックスの中だが)。
でなければ、人気投票に逆転はそうあることではない。
あの短い是枝裕和演出のドラマで、脇役になってしまった彼女の圧倒的存在感を視聴者は見逃さなかったのだと思う。

このドラマで主演の幸澤と親友役の大嵩愛花のふたりは、ともに脇でとても印象的だった。
あれを観れば、キャスティングで1トップ1シャドウはこのふたりに決めて当然なのだ。


このドラマは高校の1クラスが舞台だ。
生徒役のほぼ全員、モブキャラの時も画面の中でしっかりと生きている。
ギスギスした内容なので、生き生きとしているとは言いづらいが、集団としてとても生命力がある。

ただ、問題はそのまわりにいるオトナの役を割り振られたお笑い芸人たちだ。
きのうまで素人だった者たちの好演をすべて台無しにしている。
なぜこんなことになっているんだろう。
ギャラの枠が尽きたとしても、こんなキャスティングありえない。

カネなし時間なし経験なし、セミプロだらけのドラマだからこそ、裏方の大人のエライ人たちは現場の環境を気づかってほしいよ。

スコアは完走後に。