荒野の狼

緊急取調室 第1シーズンの荒野の狼のレビュー・感想・評価

緊急取調室 第1シーズン(2014年製作のドラマ)
4.0
取り調べのすべてが録画され、その内容が裁判にも使われるという“緊急取調室”で、容疑者を、取り調べによって“丸裸にして”自供させる刑事物語。舞台が取調室なため、刑事ものにありがちな銃撃戦などはほとんどない。また、主な出演者の中で一番若いのが46歳の天海祐希で、設定が亡くなった夫を今も慕う二人の子持ちの警察官で、相手役になりうる上司の48歳の田中哲治は妻帯者という設定なので、恋愛めいた要素もほとんどない。取調室の同僚は、田中の他には、小日向文世、大杉漣、でんでんの3人で、この5人が中心。彼らは、自らをオッサン、オバサンと呼んでいる。こう書くと、まったく魅力のないドラマに思われる人もいるだろうが、各回は、充実した人間ドラマで、まったく飽きさせない。特に、小日向と大杉が素晴らしく、普段は落ち着いた熟年で優しいのだが、時に熱い演技を魅せる。一話完結だが、元警察官で殉職した天海の夫の謎の死に、警察上層部の草刈正雄、篠井英介、田中の三人がどう関わっているのかが、各話で触れられ、ラストで秘密が明らかにされていく。各話が充実していただけに、最終話は、割にあっけない印象は否めない。ゲスト陣で特筆すべきは、不気味な高嶋政伸、嘘まみれの美しい安達祐実、国会議員神保悟志とその秘書泉谷しげる、抑えた演技が美しい伊藤裕子。若手では、速水もこみちが、別の課の刑事役で、出演は比較的多いが、居酒屋の店員役の中村静香は、毎回ラストに1分ほどしか出演しないので、若さには欠けるドラマとはいえる。
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