これはすごいよ……。フィルムノワールならぬ、連ドラノワールですよ。全12話でノワールをずっとやってるのね。こんなのは初めて観ました。映画に換算すればだいたい5本分くらいかな。もう、先端を行く韓国クオリティだから映画5本分って言った方が当てはまるかもしれません。いや、1話1話が映画1本分くらいの内容と熱量とクオリティなんですよね。これはさすがに地上波放送ではなくディズニープラスのWEBドラマならではの企画と言えるでしょう。
「新しき世界」っていう潜入捜査をネタにした映画があって、それと同じ制作会社が作ってるドラマだそうな。今作「最悪の悪」では同様の潜入捜査を描いているんだけど、12話分の時間があるだけにたっぷりとハラハラドキドキのサスペンス、そしてバイオレンス、血、血、血、の世界を堪能することができます。
主演はチ・チャンウク。血が飛び交って顔も血まみれになるだけにチ・チャンウク😅 恋愛ドラマではイマイチパッとしないチ・チャンウクだけど、今作ではどんどん裏の世界にハマって変貌していく様を演じていて、なかなか光るものがありました。
昔の香港映画や既出の韓国映画と違うのは裏組織のトップが初恋を引きずっていて、その相手と再会するっていう。そんなことから三角関係、四角関係と展開し主人公の心をかき乱す、といった演出があります。三角関係は韓国ドラマあるあるなので、まさかこのノワール作品にも三角関係設定がねじ込まれているのが興味深いところでした。しかもちゃんとおもしろくなっています。
最終回がまた決まるんですよね。バッチリ決まります。12話分積み上げたものがしっかり収束してカタルシスが得られます。劇中の人物たちの心も変わってしまい、潜入捜査が始まる前と同じようには戻れなくなっていて、失ったものの大きさを痛感させられ切実さがあります。非常に的確なラストでリアリティがあったと思います。はい、素晴らしかったです。