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巨大隕石が地球に落下する。地球滅亡まで、あと10日。 生きがいのない日々を送っていたサラリーマンの仁科真澄は、残された時間を静かに過ごそうと、母校の大学図書館を訪れる。そこで偶然再会したのは、かつて自分を深く傷つけた男・日下部律だった。真澄は大学時代同じサークルに所属していた律に次第に惹かれていき、特別な関係へと発展していったが、性に奔放な律に裏切られ捨てられてしまう。それ以来、真澄にとって律は二度と会いたくない男だった、はずだが――。 「地球最後の日まで一緒にいない?」という提案を拒絶し立ち去ろうとする真澄に、律は「飲むだけで楽に死ねる薬」を見せる。 律「それあげるから、手伝って欲しいんだよね」 真澄「何を?」 律「死体の処理」 真澄と律が過ごした学生時代の甘い夜から、二度と太陽が昇らない地球滅亡の最期の日まで。果たして2人は、世界は、どうなってしまうのか。もどかしくて愛おしい、ドキドキとズキズキが交錯する、終末ボーイズラブストーリー。
巨大隕石が地球に落下する。地球滅亡まで、あと10日。 生きがいのない日々を送っていたサラリーマンの仁科真澄(瀬戸利樹)は、残された時間を静かに過ごそうと、母校の大学図書館を訪れる。そこで偶然再会したのは、かつて自分を深く傷つけた「昔の男」・日下部律(中田圭祐)だった…。 大学時代、ミニコミ誌を制作する地味な出版サークルに所属していた真澄は、秋の新歓シーズンに偶然通りがかった爽やかでモテそうなイケメン・律と出会う。自分の書いた特集記事について褒めたことをきっかけに、真澄は律を出版サークルに誘うことに。しかし性に奔放な律はさまざまなサークルに入っては浮名を流し、コミュニティを荒らしてきた男であることが発覚する。それでも魅力的な律に惹かれ始めていた真澄。そんな気持ちを見透かした律は真澄を翻弄し続け―。
真澄(瀬戸利樹)は律(中田圭祐)とのまぐわいにより心が満たされ、何度も何度も行為を重ねる日々を送る。周囲から好かれ誰にでも優しい律に対し不安を感じるようになるが、愛と快楽がそれをかき消していた。しかしある日、真澄は他の女性と歩いている律を目撃してしまう。心がぐちゃぐちゃになった真澄は、律への独占欲から次第にストーキングするように…。そんな真澄の振る舞いに嫌気がさした律は、「もう俺に近寄らないでくれ」と言い放ち、去っていく。雨の中、ただただ呆然と佇む真澄。 それから10年。再び真澄の目の前に律が現れ―。
大学時代、真澄(瀬戸利樹)をひどく傷つけた律(中田圭祐)は地球滅亡に際して再会してもなお、そんな過去を気にも留めてないようで真澄に「最後の日まで一緒に過ごそう」と提案する。拒絶する真澄に、死体の処理を手伝えば“楽に死ねる薬”を渡す、と薬を見せつける律。戸惑いながらもついて行くと、律に薬を飲まされたという17歳の少年・広瀬遊馬(富本惣昭)と出会う。心臓が止まったのを確認したはずだったが、なぜか生き返っていた…。真澄が事情を聞くと、死のうと思った理由を話し始める遊馬。そんなとき、メキシコに巨大隕石の欠片が落下し、壊滅的な被害が起こったというニュースが飛び込む。遊馬に両親のもとに帰るよう提案するが、彼の自宅は静岡県・浜松だった。あらゆるインフラが機能しない状況下、三人は旅を決意し―。
律(中田圭祐)と過ごした12年前の年越しを思い出しつつも、もうあの日々には戻れないことに胸を痛める真澄(瀬戸利樹)。隕石落下まであと6日。浜松へ向かう道中、真澄の携帯電話に母親から着信が入る。真澄がゲイであることを知り、「子どもができないのは羨ましい」と親とは思えない言葉を放った母だったが、食べ物が尽き、ライフラインも尽きたことから、真澄を頼ろうと連絡してきたのだ。かつて自分を傷つけた母の元に行こうとする真澄に「母親のところに戻るなら、自分も家に帰る」と言い出す律。戸惑う遊馬を見て、真澄は律に浜松まで連れて行くよう説得するが―。
母に会いたくないという気持ちを押し殺そうとした真澄(瀬戸利樹)を優しく受け止める律(中田圭祐)。夜を明かそうとラブホテルに入った三人は、男性に強引に連れ込まれている女性を目撃し、救い出す。めぐる(井手上漠)と名乗るこの女性は、遊馬(富本惣昭)の推しのアイドルで自殺した嘉神まどかの“実の妹”であると言う。遊馬はめぐるとの出会いを運命だと喜び、彼女を実家の長野県松本まで届けると意気込む。しかし、まどかと何度かテレビで共演経験がある律は浮かない表情で…。 翌朝、真澄と律は便器の前に立つめぐると鉢合わせ、その場はただならぬ空気に包まれる。そんな二人の様子にめぐるは事情を説明し始め―。
めぐる(井手上漠)の実家がある長野県松本に向かう四人はキャンプ場で夜を明かすことに。まどかと律(中田圭祐)がかつて交際関係にあったのではと疑うめぐるは、「姉が自殺する前、最後に電話かけてた相手あなたですよね」と律を問いただす。その最中、二人の会話を陰から聞いていた遊馬(富本惣昭)は、すぐそばにいたはずの律がまどかを助けられなかったことに激昂し、その場から立ち去る。いさめようと追いかけてきた真澄(瀬戸利樹)を遊馬が突き飛ばしてしまう。ドンっと鈍い音が崖の下に響いて―。
まどか(井手上漠)と過ごした時間を思い出しながら、洗いざらい話した律(中田圭祐)。 深夜、律は真澄(瀬戸利樹)の寝顔を愛おしそうに眺めながら別れを告げ、キャンプ場の片隅で一人、自らの命を絶つために入手していた“楽に死ねる薬”を見つめ、これまでの人生を振り返っていた。 才に恵まれ、美貌にも恵まれ、何不自由ない裕福な暮らしを送ってきた律。ただ一つ欠けていたのは、両親からの愛だった。これまでの恋愛においても、最長の交際記録がたったの半年。律にとって愛とは、その場限りの意味のないものに過ぎなかった。真澄とのそれを除いて…。 とうとう手にした錠剤を口に含んだ、その時―。
地球滅亡まで、あと2日。とうとうめぐる(井手上漠)の実家に辿り着き、まどかの遺影を前にする真澄(瀬戸利樹)と律(中田圭祐)と遊馬(富本惣昭)。遊馬は現実の死を思い知り、涙する。「ちゃんと会えたよ」、かつて真澄に連絡するよう提案してくれたまどかに礼を言う律。 その後、遊馬を浜松へと送り届け、長い旅の目的を遂げた真澄と律。最期をどこで過ごすか話しながら、当然のように律と一緒にいることに嬉しくなる真澄。10日前には想像もしなかった、律と再び結ばれるという奇跡を噛みしめていた。瞼を閉じると、夢に遊馬が現れて……隕石を阻止するなんて夢物語だって、もしかしたら――。