二兵

仮面ライダーアマゾンズ シーズン2の二兵のレビュー・感想・評価

4.0
「アマゾンに育てられた」少年千翼は、彼を保護した組織4Cの下から脱走し、アマゾン狩りをする不良グループ・チームXに拾われ、彼らと過ごしていた。ある日、仮面ライダーアマゾンネオに変身してアマゾンと戦う彼の前に、カラスアマゾンに変身する少女・イユが現れる。生まれて始めて「食べたい」と思わされなかった彼女に惹かれる千翼だったが…。

シーズン1よりもグロさとストーリーのハードさを大幅に上げて帰ってきたシーズン2。あまりに重くて続きを観るのが躊躇われたことも何度かあった。特にイユの家族周りの描写は、ニチアサ枠どころか普通の地上波ドラマでも絶対にできないモノだろう。

まさか仮面ライダーでボーイミーツガールものをやるとは!ヒトではない二人の少年少女の、あまりにも切なく、残酷な青春物語だった。いわゆる「勘違い童貞」ぶりを発揮しまくる千翼には、観ていてイライラさせられる場面も多かったが、彼の境遇と出自を考えると可哀想でもあった。

そして帰ってきた仁さん。自分の贖罪のため「人はどんなに酷い人間であっても絶対に殺さないが、アマゾンはどんなに穏健派であろうと絶対に殺す」という思想を持つゆえ、あまりにも残酷な選択を迫られることになる…
人から観れば神かもしれないが、アマゾンから見れば悪魔そのものの彼のスタイルは、オリジナルの主題歌にある「正義のためなら鬼となる」という歌詞をまさに体現した、もはや狂気と言っていいものと化してしまっている。

一方、悠は散々葛藤し続けていたシーズン1と異なり、終始落ち着きを見せており、さまざまな人物のピンチを救う、THEヒーローな頼れる存在となっている。かといって必要以上に出しゃばることもなく、前作主人公としては理想的なポジションにあると言えるだろう。

「人が生きるために他の生物の命を奪うというのはどういうことか、生命倫理とは」「弱肉強食の世界とは何か」「異種族間の争い」をテーマとして描いたシーズン1に対し、言わば「ヒトとしての原罪と贖罪」を描いたシーズン2。重いが、歴代ライダーシリーズの中でも傑作と呼ぶに値する作品だと思う。
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