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いちばんすきな花のmanamiのレビュー・感想・評価

いちばんすきな花(2023年製作のドラマ)
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毎回毎回、心に刺さる言葉が必ずあって、
その「刺さる」には、「そうそう、私もこういうの嬉しい」だったり「分かるー、こういうの嫌だよねー」だったりの共感もあれば、
「あれ?私ももしかしたら、そういうふうに言っちゃったことあるかも」「そうか、そういうのが苦手な人もいるのか」っていう気付きもあった。
「二人組をつくるのが苦手だった」「二人組にさせてもらえなかった」
「1対1で人と向き合うのが怖かった」「1対1で向き合ってくれる人がいなかった」
少しずつ刃の形は違えど、「二人は一人より残酷」という傷を受けたことのある4人。どこかからはみ出したり余ったりした「一人」が4人集まった。そこから始まる物語は最初は柔らかい語り口で、後半には思いもよらない答え合わせが始まる。
「4人の美鳥ちゃん」は「美鳥という名前の人物が4人いる」という意味だったはずが、円錐を見る角度の話などを経ていつしか、「ゆくえ、椿、夜々、紅葉それぞれにとっての美鳥ちゃん」へと視点・主体が変化している。それがつまり「二人組が四つ」であり、さすが生方美久脚本と、唸らさられる展開だった。
このドラマを観ていた人たちはきっと、4人のうちで自分に近い考え方や境遇の人物を、心の中に登録していたと思う。私の自己診断では、ゆくえが過半数、次が夜々ちゃんと紅葉で、似てる要素が一番少ないと思うのは椿さん。
でも一番笑わせてもらったのは、間違いなく椿さん。3人の話についていけなくなって戸惑ったり、「オクサマ」の墓標を立てて指輪を埋葬したり。
「二度目まして」が苦手って宣言してたのに、一緒にいるうちにどんどん「みんなのお兄ちゃん」みたいになっていくの微笑ましい。4人でいる時に純恋が訪ねてきて、興味津々の3人に「上で遊んでなさい」って言うの好き。
かと思えば「好きどうしだったけど両思いじゃなかった」で涙腺を刺激してきたりもする。もし身近に実在してたら、幸せになってほしいと願わずにいられないタイプだわ。
大好きな多部ちゃんももちろん最高。赤田との友情について、バスの中で夜々ちゃんと話すシーン、「同性どうしの恋愛はそういうこともあるってみんな客観的に考えるのに、異性との友情については自分の意見を押し付けようとする」って、本当にその通りだと頷けすぎた。
同じようなことってありがちよね。ちょっと遠くのものはよく見えるのに、近くにいるものは自分の尺度でしか計れない、ってさ。
そして赤田役の太賀も完璧だったな。初回のカラオケシーン、ゆくえを部屋に残して立ち去るさいに、大盛りポテトとすれ違う。大盛りポテトがあんなにも切なく見えたことは今までになかったよ。
松下洸平、今田美桜、神尾楓珠、臼田あさ美、泉澤祐希、齋藤飛鳥、白鳥玉季、黒川想矢、みんなみんな素晴らしかった。特に田中麗奈は、ここで観られるとは思ってなかったって驚きと喜びもプラスされて、後半ますます幸せだったー。

「傷つけられるのに慣れても、傷つかなくなることはないでしょう」
好きな色、マグカップ、好きだった遊び、なりたかったもの、同窓会、結婚式、忘れ物、美容室のポイントカード、もうすぐ枯れる花、夜中のコンビニアイス、イロチのパジャマ、チョコチップスティックパン、夜々ちゃんの「ばーかばーか」、放課後の補習、でんでん虫とカタツムリ、将棋、ロールキャベツ、みんなで(4人じゃなく、謎メンツみんなで)食べるカレーライス。
部室。
「またおいで」
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