キラ

たとえあなたを忘れてものキラのレビュー・感想・評価

たとえあなたを忘れても(2023年製作のドラマ)
3.9
なかなかピアノを教えるだけでは生計の立たなくなってきた美離が出逢い恋をした青木空は、何度も記憶を失ってきた青年でした。

キャスト目当てで見始めたものの、テンポがあまりにもゆっくりで1話目から脱落しそうになった。何でもかんでもサクサク見られるこの時代に、ストーリーも会話もこのスピード感で進めるのはある意味挑戦なのかもしれない。

間が良い、心情がよく読み取れて良いと私の60代の親は絶賛していて、調べてみたらこの脚本家の方も60代だったことになんだか納得。年齢自体もそうですがそれよりも、影響を受けてきた文化が似ているのかもしれないなと思いました。

スピード感以外に、序盤で私は特に2つのことにイライラしてしまったけれど、結論としては最後まで見て本当に良かった。
イライラのひとつは空の幼馴染で彼の世話を焼き続ける沙菜が、別に空のことを好きなわけではないみたいな顔をしていて、実際そんなことある?一体どんな気持ちなわけ?と個人的にあまり意味が分からなかったところ。
もう一つは、美離には絶対合わない仕事を彼女が始めて、どう考えても合わないと分かっているはずなのに何故だか辞めずに働き続けているところ。辞める選択をしない理由がさっぱり分からず見ていてツラかった。
これ以上のネタバレはしませんが、回が進むに連れてどちらのイライラも私の中で解消されたのでとても見やすくなりました。あと保先生との間柄も判明したりして、全体的に少しずつだけど共感できる内容に変わっていった。

見て良かったと思った最大の理由は、最終回の、終わり方。さてどう終わるかしらと見ながら想像してしまっていたけれど、まあ片方が記憶障害のカップルなわけで、オチとしてはこうなるか、もしくはああなるかくらいかな?と粗方予想できてしまうように思っていたのに、最後の表現に良い意味で私は裏切られて、その映像がただただ美しくて。これ以上はここには書けません。そんなに?と思う程な書き方をしてしまったかもしれませんが、ぜひ期待値は上げずに見てください。。

それにしても、主役2人の演技がすごく自然で、表情の一つ一つが繊細に表現されていて好きでしたが、1番好きなのは檀れいの演技でした。彼女の演技、全部良かった。。素晴らしい。でも見終わって思ったのは、美離の母のすぐに苛々するような態度、あれは見ていて心地良い態度では無いけれど、見ているこちらの気持ちをザワザワさせるところも含めてリアルで秀逸だったなと思います。

続編は期待できない終わり方かなと思いましたが、どんな未来でろうと、私は2人の幸せを祈っています。
あと番組のグッズがコーヒーのマグカップで、ドラマ内でもナチュラルに使われているの何だか良かった。
キラ

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