蒼空

仮想儀礼の蒼空のレビュー・感想・評価

仮想儀礼(2023年製作のドラマ)
4.1
昔、北野武が撮るはずだった映画で忙しくて原作だけで監督は別の人が撮った「教祖誕生」と言う映画があった。

完全にお金のために教祖を変えながら教団を大きくしていくが、スタッフがだんだん本気になってしまう。

このドラマもコメディ要素も含めてそんな感じもありながら、現代にあったシナリオでしまいには笑えなくなる。
篠田節子さんの原作、オーディブルにないかなあ。

神さまは死の恐怖から辻褄を合わせるために脳内ででっち上げた理想の偶像だと思う。それがあれば生きていけるなら、ルールを定めて清純な思考で生きるなら悪くはないけど、必ず教典を無視して曲解して、お金のためや名誉のために会社のようになってしまう。子供や友人に勧めるべきではない。誰が何を信じようが自由だけど、自分だけの世界観に留めておいたらいいと思う。側から見て「そんなもの崇めてどうなん?」と思っても、一般の社会の法律で犯罪じゃなくてば、ほっといていい。

父親や兄にレイプされたり、霊視ができると思い込んだり、世の中にはかなしい現実が日常の人もいる。救いのようなものは必要だけど、何かが間違うとこのドラマのようになるんだね。
そして、すがる思いは途切れることなくまた新しい教祖を生んでいく。

俳優たちの成り切った演技と、何事かあるような劇伴、ユニークさと怖さのあるナレーション
10回があっという間のドラマだった。
蒼空

蒼空