フジタ

舟を編む 〜私、辞書つくります~のフジタのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

【2024#014】
中型辞書である『大渡海』出版にむけて奮闘する辞書編集部の物語。
テーマ性のある物語、豪華で確かなキャスティング、現実とフィクションの境界がなくなるほどの映像美。NHKドラマのよい点がいかんなく発揮された奇跡のようなドラマだった。

様々なことに悩みながらも若い感性を発揮していく池田エライザ前田旺志郎、辞書オタクとして周囲を巻き込んでいく野田洋次郎、全体を支える渡辺真起子、経験豊富なベテラン柴田恭兵岩松了、イケイケな盛り立て役向井理など、個性的な面々が同じ目標・ビジョンに向かって走り続ける姿に、胸があつくなる。

美村里江、柄本時生、松田龍平、鈴木伸之など脇を彩るキャストも実力派揃いで抜かりない。

言葉の物語なので、登場人物の言葉選びも丁寧だったり、不用意に発してしまった言葉に後悔したりするなど、全体通してつくりが精緻。
たった3文字の”なんて”という言葉で人間関係が終焉したり、時がたって励まされたり。時間軸を長くとる作りが安易な”伏線”とは一線を画しているた。また、「遣らずの雨」「可惜夜」など、本作で初めて知る日本語も多く、知的好奇心もくすぐられる作品だった。
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