みな

十角館の殺人のみなのレビュー・感想・評価

十角館の殺人(2024年製作のドラマ)
3.6
ネタバレはしていないけどトリック演出の印象を書いています。

原作を読んでたので、そうやって演出するんだ〜と思いながら見て楽しかった。堂々とやってのけるのはすごい。ただフォーカスやカメラの移動はもっと凝ってもいいはず。
小説だとセリフを発しない、地の文に出てこない人はいないも同然になり、読者の意識を見せたくないものからそらすことができる。しかし映像ではカメラを向ければその場にいる人物や格好、態度すべてが映り、結果的に怪しい人物、怪しい行動が目立ってしまうと気付いた。全体の演出を大げさなくらいに工夫すれば、不審さが演出に溶け込みトリックも馴染むはず、と少し不満。
「あの1行」は間のとり方がくどく、ハッとする感覚を損なっていた。エンドロールの入り方は素晴らしい。

いい実写化だったとは思うけど、ここまで律儀にやる必要はあるのか?ミステリーファンはこれがいいんだろうけど、映画らしい演出、つまり観客にヒントを渡すのではなく100%騙してここぞという思い通りのタイミングで真相を明かしてしまうやり方の方がいいのに、と思った。90年代にいくつかそういう映画があったじゃないですか。いいんだよ、アンフェアで。


昭和な風景、ばかすか吸うタバコなど良かった。シネスコで作る必要はなかった。特にいい構図とかなくて画面が窮屈に見えた。人間ドラマがエモいようでそうでもなく、5話かけるならもっと感情を撮ってもいいのになと。
みな

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