新宿の住宅街にひっそりとたたずむ“精神科・ひだまりクリニック”。ゆっくりとした時間が流れるその場所は、弱井幸之助(中村倫也)が経営する病院兼、自宅になっている。めちゃくちゃ優秀なのだが、どこか抜けている弱井、そしてそんな彼と共に働くのは看護師の雨宮有里(土屋太鳳)。今日も2人は、心に悩みやトラブルが起きてしまった患者一人一人の声に、丁寧に耳を傾けて診療する日々を送っている。
満員電車の中、押しつぶされそうになりながら携帯で仕事をしているシングルマザー・雪村葵(夏帆)は、息子の翔を保育園に通わせながら大手広告代理店に勤めている。夫の浮気が原因で離婚をしたのだが、仕事と育児どちらも完璧にこなすために、分刻みの日々を過ごしていた。そんなある日、葵は電車の中で突然パニック発作に襲われる。心療内科を受診するが、薬を飲んでも回復はせず、むしろ薬の副作用で生活に支障をきたしてしまっていた。なにより発作のせいで、遊び盛りの翔をどこにも連れて行けないことが、ますます葵を苦しめていた。そんな状況を知った元姑の文世(余貴美子)が、溺愛する孫の翔を守るために取った行動がさらに葵を苦しめていく――。
ある朝、葵は駅のホームで偶然、弱井に出会う。弱井は葵の話に耳を傾けて“パニック症”と診断する。驚く葵だったが、原因不明の苦しさに名前が付いたことで安堵する。そして弱井と共に、治療への一歩を踏み出すのだった。自分のために、そして翔の為に―――。
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