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お毒味役主丞 乾いて候の郵便機のレビュー・感想・評価

お毒味役主丞 乾いて候(1983年製作のドラマ)
5.0
田村正和が演じた役のイメージは世代によっていろいろだろう。

「古畑任三郎」が大ヒットし結構ロングランだったので、あのしゃべくり警部補のイメージは根強いだろうし、コメディドラマで演じたやさおとこぶりも面白かった。

もともと田村の出自は時代劇の人で、リアルタイムでみていた自分からすると、この「乾いて候」の田村正和ほど、田村正和らしい役はないと思ってる。

- 腕下主丞(かいなげもんど)は超人

"かいなげもんど"と読みます。

表向きは徳川8代将軍吉宗のお毒味役(将軍が食事する前に自ら食べて毒味する係)であるが、実はその吉宗の隠し子という設定。

お毒味だけでなく、それら料理をつくらせたら天下一品。
超一流のシェフの顔も持つ。

もちろん剣は達人。

「色男、金と力は無かりけり」とは昔からの言葉だが、それを全否定するキャラ。

そしてなによりの特徴は、主丞は幼少期から毒味の訓練をやらされてたという無理やり体験が功を奏し、いつの間にか彼は毒が効かない体質となってしまった!!(どういう抗体じゃ)

彼を毒殺することは無理。
毒がついた手裏剣も効かない。

まさに、不死身の超人

- 太刀筋(たちすじ)がアート

こないだ、日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した「侍タイムスリッパー」
あの作品における殺陣(たて)をガチ勢とすると、腕下主丞の殺陣はアート。

眠狂四郎の太刀筋がベースなんだろうが、腕下主丞の太刀筋はほんと美しい。

その立ち回りは流線を描きつつ、瞬時の切れ味を見せる瞬間はまさにアートそのもの。

そんなんじゃ人は斬れねーよとつっこまれるかもしれないが💦、田村正和のなんていうのか、色気が滴り落ちるというか、今風な言葉でいえば"ダダ漏れ"

こういう色気かおる殺陣があってもいい。


- 乾いて候(かわいてそうろう)

腕下主丞の口癖は、

「拙者、涙も枯れ果て、乾いてそうらえば・・・」

あまりにハードな人生だったので、涙の一粒も出なくなるほど乾いてしまったと。

とにもかくにも乾いている男なんだが、それに反する田村のダダ漏れな色気がアンバランスで、実に特異なキャラを成立させている。

そんな「乾いて候」のなかでオススメは、

「お毒味役主丞 乾いて候」1983年

「乾いて候 お毒味役必殺剣」1984年

中山仁が大岡越前を演じていたこの1983年と1984年の硬派版をオススメしたい。

後に連続ドラマにもなったが、ほぼほぼ上記2作のリバイバル的な同じ内容の焼き直し版であったと記憶してる。

また、1993年版はちょっと田村正和がコメディドラマで味を覚えたのか、おちゃめ感を出しすぎていて興ざめするシーンがちらちらある。

今回味くらべ的に3作品をアマプラのサブスクで再視聴したが、やはり硬派な1983年版、1984年版を推したい(84年版は梅宮のたっちゃんが敵役)

1993年版は田村三兄弟そろい踏みでそれはそれで話題にはなっていたが、中山仁がいたほうが緊張感があった。

ちなみに原作の劇画も読んだことがあるが、田村正和演じる腕下主丞が格上という感想。

とにかく時代劇における全盛期の田村正和がここにいる。
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    いつもお世話になっております。郵便機です。 毎度のいいね、ありがとうございます!!! <4月のひと言> 春と冬、いきつもどりつ衣替え、 しまった冬物、出すのためらう サブスク中心、たまにDVDレン…

    いつもお世話になっております。郵便機です。 毎度のいいね、ありがとうございます!!! <4月のひと言> 春と冬、いきつもどりつ衣替え、 しまった冬物、出すのためらう サブスク中心、たまにDVDレンタル、まれに映画館。 よろしくお絡みくださいますよう😀 自己紹介です(あるいは過去のトラウマ😅) はるか昔) ・演劇活動に没頭  台本作成、演出、役者も兼ねる。演技は上手い  ほうで🙇🏻他の劇団から客演して欲しいとよく  誘われてた。  演劇は観る方も好きだが、基本的に  「(髪をかきあげながら)シェークスピアより、   ふつうに、ドリフが好き」 ・シナリオライター養成学校に通う  いつかはあちらの世界で職を得たいと働きながら  通ってたが、そのいつかはいまだ来ていない😅  シナリオ作成の一丁目一番地である枷(カセ)  のはかせかた、起承転結のもっていきかたなど、  基本的なことを現役の脚本家から学んだ。 ・マイレビュー本保持  某所レビューサイトのキャンペーンに乗じ、  自分が書いたレビューを冊子にしてもらったことが  ある。いま読み返すとめちゃくちゃ恥ずかしい  が、ゆくゆくはそのレビュー本を棺に入れてもら   い、三途の川を渡る予定。  「地獄の沙汰もレビューしだい」と聞いてます。 ・元ラジー賞会員  その年いけてなかった俳優や作品を会員らが選び  表彰するラジー賞。  お金払うと誰でも会員になれるので、自分も会員に  なってた頃がある。   レビューにおいて、しばしば作品を上から目線で辛口評価するくせが抜けないのは、上記のような過去のトラウマが影響してると思われます。 どうか暖かい目でスル~してくだされ〜😅😅 ※ハンドル名の変更 長年愛用してきた"aiai"をレビューの神様に返上し"郵便機"という新たなハンドル名に変更しました。「星の王子様」でおなじみのサン・テグジュペリのデビュー作「南方郵便機」から拝借しています。フィルマの王子様になれるよう、精進いたす所存です!! ー2024年暮れ