Akari

紙の月のAkariのネタバレレビュー・内容・結末

紙の月(2014年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

お金との付き合い方を考えさせられる作品。
映画版は宮沢りえさんの緊迫の演技を見るのがよかったけれども、ドラマは尺が長い分、背景がより丁寧にわかり、マイルドで見やすい。

原田知世さん演じる主人公が清く正しい、間違ったことをしなさそうなところがリアル。きっと青年に恋愛をしてしまったわけではなく、ただ自分が誰かの役に立っている実感、感謝される実感が欲しくてこうなってしまったのだろう。高校時代を演じた女優さんもこの物語の主人公によく合っていた。
主人公の夫も嫌味はつらいけれど、だんだん最後は自分が反省する点に気づき妻の安否を気遣う様子がリアルでよかった。

そして映画版ではなかった友人たちの話も興味深い。節約をしすぎて家族からも呆れられる主婦、よく水野真紀さんもこの役を引き受けたなと思うほど。確かにいるよね、こういう人は。買い物依存症の西田尚美さんの役も興味深い。思春期の精神的に危うい少女を娘に持ち、複雑な気持ちを抱えている様子もよく伝わった。

つまり女性3人とも、お金との付き合い方が極端なのだ。
横領、偽造、着服の犯罪をおかしても夢うつらな生活に突っ走る主人公。節約が家族の未来を幸せにすると信じ、今現在の家族の生活を窮屈にしてしまう女性。買い物をすることで日頃の鬱憤やストレスを晴らしてきたが、娘と向き合うことで自分にも向き合わなくてはいけなくなった女性。

光太にお金を持っているように見せないといけない、と思い込む主人公の気持ちは理解できなかったけれど、いつかこのお客さんのお金をどうかしてしまうのかもしれない、という危うさはこれだけ銀行関係者の着服のニュースなどを見ているとあるんだろうなと思う。

このドラマは孤独な高齢化社会の辛さも語っていた。娘や息子がいても、関係が悪いと孤独で、認知症で身内を疑ってしまう女性とか、つらい。

お金に振り回されたくないな、と思うし
この社会はこのドラマの登場人物たちのようになりうる危うさを伝えている。
Akari

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