キラリ

この世の果てのキラリのレビュー・感想・評価

この世の果て(1994年製作のドラマ)
4.0
“一度でいい、死ぬとわかっていてなお、溺れる人を助ける人間が見てみたい”

究極の「自己犠牲」と「共依存」を描いた、THE野島伸司脚本作品。“愛”とか“献身”という言葉を使うと一見聞こえはいいけど、脇目も振らずただ破滅に向かっているのが野島伸司らしい。「世界中の誰もが敵になっても、あなただけは味方でいてほしい」感が今回もとめどなく溢れている。

人間の持つ醜さや愚かさや悪意をこれでもかというほど煮込んで煮詰めて闇鍋状態になったものに、仕上げに“愛”というスパイスを振りかけて出来上がったのが本作だと勝手に思い込んでいるんだけど、それほどまでにおぞましい内容になっている。30年前のドラマだけど、こんなにも残酷で鬱々としている過激作品が当時月曜9時に放送していたとはとにかく驚きです。

最後に、本作のキーパーソンのとあるセリフを。完全に某番組をディスってるよね、、、
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私をひどい医者だと思ってるんでしょうね、金の亡者だと。
確かに金はあるに越したことはない。
しかし私はそれだけで要求してるんじゃありません。
私は偽善というのが嫌いでね。
テレビの募金番組があるでしょう。いかにも親切ぶった人たちが大勢会場に詰めかける。
しかし、そのうちたったひとりでも、たとえば明日生活するお金もすべて差し出すような人間がいますか?決していない。
私はね、自分は安全な船の上にいて、浮き輪を投げるような人間が嫌いなんです。

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