こうん

ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン2のこうんのレビュー・感想・評価

4.5
ネットフリックスをずっと忌避していたのは、導入してしまうと私が観たい!の沼に没入してしまうことにより家庭生活がおかしくなってしまうことが危惧されたからなのですが、いざ限定的に導入してみると案の定、平日帰宅後就寝までの5時間くらいの家庭生活時間のうち2時間を「ストレンジャー・シングス」に費やすことになって妻の不満顔が日に日に般若化しており、マジでヤバいぜ!という感じです今。
そして面白いぜ好きだぜ「ストレンジャー・シングス」!

S1は一応最終話できれいに終わろうとした感じだったけど、S2はその後の数シーズン展開も見越した世界観の拡大とキャラクター深掘りに費やすと腰を据えた感じでややスローペース。
とはいえペースダウンしたわけでなく、キャラクターとその相関の人間ドラマで横軸を丁寧に作り、徐々に“裏側の世界”の浸食具合が明らかになっていくSFサスペンスミステリーを縦軸としていく、オーソドックスで上等な作りで、まったくもって飽きさせませんね。

第8章の最後、わかっちゃいるんだけど、自らの運命に復讐するのではなく、マイクやホッパー署長から学んだ新しい生き方を選んだエルが舞い戻ってきて…のくだりには正座してギャン泣きしました43歳晩秋の25時。

エルのシカゴ出張回は正直あんまり…だったけど、母親に辿り着いて現在進行形のアイデンティティを獲得するんで、結果オーライです。
色々好きなんだけど、今回さらに好感度が高まったのはダスティンと彼とバディ状態になるスティーブですね。

ダスティンの母ちゃんに対する気遣いは大人だししかし一方で母親と二人暮らしできょうだいが(そして恋人も)いないこともあってまだかわいい状態のデモドッグに愛情を抱いちゃう感じもちょっとグッとくるし、ナードでリベラルで聡明、あの4人の中で一番カッコいいよね。
そんなダスティンが、ジョックスから格落ちしちゃったスティーブとバディ化するのも胸熱。彼もまたナンシーとの関係や裏側の世界を観たことですっかり人が変わって、年下のガキとやれやれと思いながら付き合い、ナンシーに未練たらたらなのだが根はいいやつ感マシマシで、グーニーズのジョシュ・ブローリンを彷彿とさせる役どころ、今後の活躍も楽しみですな。また最終章でボコられてスカーフェイスだし。ダスティンへの友情の証として色男テクを伝授するのもこれまたグッときましたし、そのダスティンがパーティーで意気揚々と女子に声かけるけどもことごとく失敗してショボーンになっているところでは久しぶりに画面に入って抱きしめてやりたいと思いました。
私の代わりにナンシーが(心情的に)抱きしめてくれていたので、ナンシーは私、ということになりますかね。弟の友達の中で一番好き、って多分世界中のみんなが同じこと思っているよ!

せっかく現実世界に復帰したウィルがずっと顔色悪くリーガン状態(エクソシストのことね)になっていくのが不憫(をそそる顔してんだあいつ)で辛いけど、ウィノナ・ライダーの母ちゃん愛爆発にもグッときましたし、マイクがウィルとの出会いを話すとこもね、あのへんは画面が歪んでましたよなんか。
俺とお前は友達だしそれは永遠だ!というピュア―なボーイフッドがこのドラマの基調音になっているので、そのへんはもう解像度高くならざるを得ないです。
今でも肩組んで帰る小学生とか中学生(最近女子高生バージョンも見た)を見かけるとグッとくるんですけど、喪われた幼な心への憧憬というものがあって、それを激しく揺さぶってくるのが「ストレンジャー・シングス」です。
もちろんSFジャンルとしても最高で、S1でも濃い目だったけどS2は「エイリアン」要素がてんこ盛りで、「2」も「3」も感じさせてくれたよね。確かS1で「オバノン」の名前がチラと出て気がするけど、ダファー兄弟はダン・オバノン信者だと思うよ。つまり僕の友達!ということです。
ゾンビもので1番好きなの「バタリアン」だしおれ。
S3も楽しみだし、なんか今制作中のS5で終りみたいだから…今からもうハンカチ握りしめておきます。

そうそう、この世界で一番悪いやつはマイクの父ちゃんだと思うんだけど、S2ではその悪辣ぶりが観れなくてちょっと残念です。

あとちょっとだけ瑕疵を指摘させてもらえば、ルーカスとマックスの距離の詰め方が雑というか、ダスティンを際立たせるための作為になっちゃってるのが気になったかな。巨匠の名を与えられたルーカス、いまいち弾けてないんだよなー。

とにもかくにも、妻がデモゴルゴンに脱皮するまえに早く観終えるぞ!
(でも「ベター・コール・ソウル」も観たいんじゃ)
こうん

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