Nella

アトランタ シーズン4のNellaのネタバレレビュー・内容・結末

アトランタ シーズン4(2022年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まだ2話なんだけど2話がめっちゃ面白かったんでとりあえず書く。この話のミスリードっぷり凄くて、最初は「アーン傷ついたんだね、可哀相に」となるし確かにちょっと手のこんだ復讐劇だけど、ダリウスやアルが冷たいのも「何で?」となる。でも最後まで見てよく考えると、果たしてアーンが憎いのは「白人」?それとも「女」?ってなる(なんも考察サイトとか見てなくて自分の価値観のみで書いてます)。サーシャはもしかしたらアーンが好きで、別の子とデートしたアーンに嫌がらせしたかったのかもしれない。あるいは、デート中にスーツを預かってくれなんて良いように使われて腹が立ったから嫌がらせしたとか。ともあれ、どんな理由があっても女性の部屋に無断で入ってはいけないだろう、しかも寮長権限でマスターキーを使って。それは暴力であり犯罪でもある。面接は延期してもらえば良かったし心象損ねてもそれは自己責任の範疇である。彼女との齟齬はあくまで話し合いで解決すべきだった。
この仮定が合ってたら、アーンは女へのルサンチマンを他の女で晴らしただけだ、彼女が「ナチ女」に見える、という点を利用して。リサは身体には異常がなさそうなので介助犬はセラピードッグかなと思う。精神的に不安定な女性を雇っている空港にも問題はあるが、問題があると思ったら空港に言うべきで個人に復讐すべきではない。一見してリサがまたクズっぽいのでうっかり騙されそうになったが、そういう話かなと思う。セラピストの前での態度との違いを考えるとアーンの二面性は病的で闇が深い。自身が差別や抑圧など「加害」をする時に自分に都合のいい作り話、端的に言えば「言い訳」をしていないか、と突き付けられたようだった。

全話見終わったけど4話が悪夢のようだった。ヴァンがこの悪夢のような世界で、幼い娘を母親の自分一人では守り切れないかもしれない、と限界を感じているのがよくわかって切なかった。でも2話でアーンが「女」をどう思ってるか、あれだけ執拗に描いたからこそあの一見、感動的な家族の絆シーンもホラーでしかない。ヴァンどんなに不安でもアーンは支えにならないんだよ…。
「6歳か。いつのまにか大きくなった」と感じるのは、母親であるヴァンが365日×6年間一日も休まず守ってきたからなのに(途中ちょっと精神を病み離脱したが)。大きすぎるテントわざと買ってきたんだよね、ヴァンの同情を引けるように。本当もう、怖いよこの話。ていうかアーンの二重人格ぶりが怖い。妻子は家父長制のアクセサリーじゃないよ。
スニーカーのためにキスするのが尊厳を損なうかどうかの話は興味深かった。最初は売春の話かと思ったが、ダリウスの立場は「演じる者」の代弁者でもあるようだった。アーンがスニーカーというアクセサリーより自尊心を守るのが何か引っかかった。
最終回が「インセプション」でお馴染みの無限後退ネタだったのも意外で面白かったけど、ダリウスはやっぱり良い奴だったんだよね?優しいから病んでしまったんだよね?そう思いたいよ。
Nella

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