YasujiOshiba

ボディガードー守るべきものーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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おととい1話だけでも見てみるかという、軽い気持ちで見始めたら、なんのことはない、全6話を一気に見てしまった。気が付けば朝の4時。それから授業をして鼻血を出しちまうという体たらく。面白すぎるドラマというのも、困ったものだ。

主人公は、ある自爆テロをすんでのところで阻止した元軍人の警官でその功績により内務大臣のボディーガードを命じられるのだけど、この内務大臣が、女性だというのがひとつのポイント。さらには、ディビッドの直属の上司も、さらには警察組織のトップも女性という配役。いきおい、ディビッドは「イエス、サー」ならぬ「イエス、マム」を連発することになる。

トップが女性だらけというのは、いかにもイギリスらしいところ。さらに内務大臣の暗殺未遂事件が起こると、さまざまな捜査員たちが登場するだけど、登場人物たちの肌の色のグラデーションの多彩さに、ロンドンの今を見てしまう。イタリアなんて、いまだにアフリカ系のイタリア人がバールのバイトを肌の色を理由に断られたりしているみたいだし、日本だって外国人の就労がもはや避けて通れない課題となってきているから、なおさらだ。

そしてもうひとつは、主人公やその仲間たちがPTSDを患っているという設定。イラク戦争などの帰還兵たちの多くが、その生活を壊されてしまっているわけだけど、それがあたりまえの前提。この前提がなければ、イギリスの今のリアルに描くドラマは無理ってことだし、たとえ作り物であっても、いや作り物だからこそ、リアリティのないドラマはつまらなくなってしまう。

たとえば、PTSDをかかえる主人公が、ボディーガードする相手である内務大臣ジュリアって、じつはイギリスの派兵について推進する立場にあった政治家という設定なんて、じつにリアルでドラマチックではないだろうか。

えっと、シーズン2ってあるのかな。また鼻血を出したくはないけど、期待しちゃうな。
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