原作は結構厚みもあった記憶がある大作で、この毎日放送製作の連続ドラマ版も、通常は全3話のところが本作に限っては全4話。
それだけ登場人物も多くて相関図も大変なので、この4話構成は視聴者にとっては丁寧な作り。
舞台は戦後間もない軽井沢。白樺の木々が沢山生い茂るロケ地なので、実際に軽井沢かその近辺で撮影されたのかと思われ・・。
にしても、華族、ルンペン、色盲、原爆症・・と、昭和感漂う台詞の数々。今の時代に本作の映像化は、真犯人解明の糸口等を考慮すると、なかなか厳しいだろうな。
市川崑監督版の金田一耕助シリーズでは名脇役に徹した草笛光子が、本作で華やかな衣装を取っ替え引っ替えで登場する往年の大女優という設定が嬉しい。また、“笛小路”という元華族の家名を守る重要なキャラを演じた乙羽信子の所作が上品。
連続殺人事件の真犯人は、横溝正史にしては珍しいキャラクター。また、一視聴者としてもその人物に対して同情を覚えずにはいられない。
三ツ木清隆も懐かしいなあ。永島敏行みたく時代を象徴する若手俳優としてもっと台頭してくるかと思いきや残念。
かなりドロドロとしたストーリーで個人的には好みではあるが、最後の終わり方や親子の関係性の描写がやや浅く残念。