てつこてつ

悪魔が来りて笛を吹くのてつこてつのレビュー・感想・評価

悪魔が来りて笛を吹く(2018年製作のドラマ)
3.6
引き続きのNHK制作の金田一耕助シリーズ。
気づいたのは、自分は制作順の逆から見ており、吉岡秀隆の金田一耕助は本作が最初だったという事。

ファンの方には申し訳ないが、自分は吉岡秀隆の目をギョロッと見開く演技や滑舌の悪い喋り方が苦手で好んで彼が主演の作品を見ることは無いのだが、「犬神家の一族」「八つ墓村」は、他のキャスト陣がメインで描かれておりそこまで気にはならなかった。

が、第一作の本作に関しては、やはり、吉岡版の金田一耕助像のお披露目でもあるので、彼が中心になって物語が展開していくので否が応でも独特のクセが目立つ。終盤の事件の真相解明シーンとか特に・・。

ちょっと頼りない新たな金田一耕助像は有っても良いと思うが、やはり、自分は吉岡秀隆という俳優さんが苦手なんだなあとつくづく痛感。

但し、物語の見せ方自体は、横溝正史の原作物でも特に複雑な人間関係が入り組む部分をなるべく視聴者が分かりやすい脚本構成となっており質が高い。

また、おそらく人間として犯してはならない最も大きなタブーに触れた原作のテーマを描写自体は控えめながらも堂々と描き切ったNHKには拍手。

元華族の一族が住む豪邸や様々なロケ&セットも見事。

映像化されやすい他の横溝正史原作物でも、本作だけはキャスティングだけでは簡単に真犯人が誰だか分からない内容で、それだけ演じる役者の技量が試されるものだが、この映像化作品での犯人役の演技は、演出のせいもかるのか少々大げさな感じがした。

また、原作から大幅に脚本での変更が見られ、とある重要人物が登場しないし、犯人の意図や性格も大きく変わった作りとなってしまっているのでその哀れな生い立ちが明らかになってもやや同情しがたい。

西田敏行が金田一を演じた東映版のような哀愁漂うエンディングも無く少しインパクトには欠けるかな。
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