玉生洋一

古畑任三郎 FINAL フェアな殺人者の玉生洋一のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

三谷幸喜がインタビューで「気に入ってはいない」と語っているように、
イチローのイメージを崩したくないあまりに悪人度を弱め、
嘘をつかない男として描いたため
あれよあれよと追い詰められてしまうので
話としては少し物足りないか。

悪人に振り切って描いて
「実は裏ではこんな男」というふうにしたほうが
ギャップがあって面白かったかもしれない。

殺す際にはちみつと毒の2つのカプセルを用意し、
相手に選ばせ、選ばなかったほうを自分も同時に噛む
というしかけが面白かったので、
そこを軸にすればよかったのにと思う。

「なぜ被害者はさほど抵抗せずに毒を飲んだのか(→死ぬ確率が50%だったから)」
「どういうしかけで被害者に毒を選ばせたのか」
という謎を古畑が解く展開になると思ったのだがそうはならなかった。

結局は
「イチローは一方的な殺人者ではない」
「自分が死ぬか、相手が死ぬかのフェアなゲームをやっただけ」
ということを示すためだけの仕掛けだったということなのだろう。
相手の合意なしに暴力ずくで行ったゲームなので
突き詰めて考えればフェアとは言い難いわけで、
暴力も一切なしで殺すしかけがあれば
「フェアな天才」ぶりがもっと際立ったかもしれない(個人的にあとで考えよう)。


イチローの演技の自然さが凄い。
本職ではないのにあの違和感の少なさは何なのだ。

※2021の再放送で視聴。