誰もいない寂しい海岸
昔「橿日の浦」と言った
いざ児ども香椎の潟に白妙の
袖さへぬれて朝菜摘みてむ
大伴旅人が万葉集に詠んでいる
きちんと揃えた足には真っ白な足袋
海岸に横たわる二人は眠りについたように
穏やかな表情をして寄り添っている
完全に合致する不自然な偶然
殺った人間は分かっている
でもなかなか崩せない巧妙なカラクリ
追いついても捕まえることができない
時間と移動
動機と形跡
全てを縦と横に線を引き
交差するその点に真実がある
小説に負けない情緒的なドラマ
たけしはもとより
板原悦子も小林稔侍も迫ってきました