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チェルノブイリのRIOのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
4.5
1986'4'26 0:23
一発の轟音 そして振動

森の向こう側に空に向かって真っ直ぐ伸びる光の柱
何も知らない住民たちは橋の上から見物をしている
夜空に舞う光る粉、足元に積もる死の灰

事故を起こした発電所の最高責任者ディアトロフは爆発を否定する
そのときの実態は誰も知るよしもなかった

プリチャビチの住民たちは避難命令を受けることもない
市長らは事態を把握することなく隠蔽することで合意する
決して本当の事を言えない、見えないで決まっていく様がエグい

起きるはずのない爆発なので起こるはずがない

空から小鳥が落ちてきた その小鳥は死んでいる…
住民たちは爆発が発生してから
36時間過ぎてようやく出た避難命令

1000レントゲンまで測れる線量計で原子炉建屋の線量を
測定すると線量計は電源を入れた途端に壊れた
毎時200レントゲンまでの線量計では針が振り切れる

第4炉建屋の周りに落ちている黒鉛のかけら…
これは炉心が爆発したことを意味する
理論的にそんなことはありえない

救急車がサイレンを鳴らしながら病院へ
事態を収拾しようとした発電所員や消防士たちが
悲惨な姿で担ぎ込まれる
凄くこのシーンはリアルだった

不安と焦り恐怖に覆われていて凄惨だ
事故が起こった未明
特別委員会が開かれ
モスクワ国家首脳部会議に
RBMK炉の専門家が召集される
緊迫な状況が張り詰める
物理学者でソ連が開発したRBMK炉の専門家の
ヴァレリー・レガソフは事態の真相を報告した

エネルギー部門の責任者、ソ連閣僚会議の
副議長ボリス・シチェルビナはレガソフと共に
事故調査のためプリチャビチへ
専門家はRBMK炉が爆発することを
理論的に説明ができない

権力の中だけで判断する官僚
なんの責任もない人々が
希望が見えない中で、やらなければならないから…
という義務感で原子炉建屋に立ち向かっていく

汚染レベルの高い水の中を進む3人の原発労働者
リアルな感覚に恐怖を覚える
裸で地下に穴を掘る鉱夫たちは、分かっていながら
何も言わず、急に降りかかった責任を果たす
兵士たち、作業員たちが薄い保護服で次々と駆り出される
未曾有の事故に命がけで立ち向かった人々

世界をも巻き込む被害と危険を回避するために
人の命が引き換えとなる
想像を絶する事態を目にすることになる
ことの重大さに衝撃を受けた

副議長ボリス・シチェルビナとレガソフは真相に迫るにつれ運命を共にする
この二人だから問題に立ち向かえたように思う

ウソの代償は?

見てから24時間経った今でも恐ろしく重苦しいものが拭えない…
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