ふじこ

ヒーローが飛び立つときのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ヒーローが飛び立つとき(2018年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

最初の方の作戦中に亡くなった隊長が生きてる…って話かと思ったらそんな事なくって、急に出てきた謎の女ヤエルが死んでるはずなのに生きてる…!ってなる話で ん?ってなっちゃった。
この女誰?ってのと、名前も顔も関係性も理解する前にこの話になるから誰の女でどんな感じの関係だったのかも全く分からん…まだ隊長の方が愛着あるわ、って気持ちになってしまった。

もうちょっと説明してから死んだはずなのに生きてて欲しいわ。
愛着あるとか言ったけど、隊長と主人公の顔の違いも全然覚えてないんだけど。

と、思いながらも見続けていると、現在・古い過去・過去、をそれぞれの人物毎にちょっとずつ観せてくるタイプの作品だった。
何かを見つける→黙って真剣な顔→そいつの過去→現在に戻って話が進む→今度は別のヤツが真剣な顔
ってパターン。
冒頭で死んだ隊長はメイン4人の隊員達の中をぎこちなくさせるためのものだった。
主人公は俺を置いていけ、他の仲間を助けろって命令に従って泣く泣くその場を離れたんだけど、若い隊員はそれを信じてなくて口論になったり、陽気なタイプの隊員はどっちも諫める感じで立ち回り、もう一人のイスラエル帽(たぶん)を被った男はあんまり喋らないでそっと諫める感じ。

で、主人公=元彼女、イスラエル帽=妹、陽気=親友の元彼女と妹、若い金持ち=元想い人 である女性を探しにコロンビアへ行く。旅の途中で事故に遭って、助けてくれた麻薬を製造している謎の宗教組織みたいなところに捕らわれている。ついでに主人公との子供もいる。あと若い金持ちは癌が再発して余命2ヶ月だけど着いてきている。
その麻薬に関連して色んな組織が関係していてピンチに陥ったりなんだりと。
更に別ルートから麻薬を追う刑事の女性も、かつて車に爆弾を仕掛けられて夫と息子が爆死する悲しい過去もあったり。
最初に年号が表示されるのを はいはい過去編ね と疎かにしていたんだけど、揃って除隊する話をしている時はめっちゃ仲良さそうなんだよなぁ。お揃いの亡くなった隊長のタトゥーを彫ったりして。これはまだ隊長が死ぬ前の話かなぁ、隊長がいつ死んだのかもう憶えてないから困っちゃうぜ。
お金持ちの若者とヤエルが元恋人っぽいってのもだいぶ後から教えてくれるし、ずっと親友の彼女が好きな可哀想な奴かと思ってたわ。

薬中になっちゃうと回復しても、大怪我してイタァイ!ってなった時も注射ダメになっちゃうんだな…。
ダメって言うか、どうしたって薬の事を思い出させるからかぁ。フェンタニル中毒とかも、その後使えなくなるって言うし、違法薬物ダメ、ゼッタイって感じだな。

なんだかんだでヤエルと息子を助けるも、主人公を助けに来た若いお金持ちは撃たれて死亡。
兄貴と陽気タイプが上げた狼煙を目印に警察がやってきて犯人は逮捕されるんだけど、その前に信者達はほとんど死んでそう…。教祖である神父はどうなったんだっけ?

主人公に興味があって、自分が開発した薬物で過去を見させて乗り越えさせるって事に変に執着していたけれど、自分は未だに目の前で戦友たちが砲撃で吹き飛んで自分だけが助かった事や、その後に同じように精神がおかしくなって犯した犯罪の事なんかを忘れられなくて、でも自分の作った薬で乗り越えさせる事は出来ると考えていて、それで主人公にやってみせろ って迫ってたのかなぁ…。
結局主人公は子供の頃、父親が目の前で発作を起こして倒れた事、助けられなかった事を思い出したり、隊長が目の前で撤退しろって言ってた冒頭の作戦を思い出したりするんだけど、目が覚めてから結局記憶は変えなかった と言い残して去っていく。それに絶望したような放心したような顔を神父はしていたのだけれど、主人公の強さみたいなものに結局乗り越える方が良かったのか って思い直したのか、自分には何も変える力はないのか と思ったのか、もうちょっとこの神父について詳しく知りたかったなあ。

"記憶を変えなかった"って言うのは、隊長の元に残らなかった って事かな。1話の最初を見返しても最後と違うのは隊長が目を閉じたかどうかの違いしかなかったし。
でもあのまま残っていたら多分全員死んでいたし、あの場に残った記憶に擦り替えたら齟齬が生まれない…?今生きている。この辺詳しく知りたかったんだけどな~~

結局、若い兵士だけは亡くなってしまったけれどヤエルも息子も戻ってきて、陽気な男も一時薬中になっちゃうほどに戦争を引き摺っていて、今でも家族(戦友)のためにと全てを懸ける覚悟があったけれど恋人に"あなたの家はわたしよ"と言われてやっと燻っていた戦争の残り火を消す事が出来たんじゃないかなぁって。
ヤエルの兄貴にしても、もうずっと祈りの道具を持ち歩いていないんだ って語ってたように色々あって信仰を捨てる事にしたのだろうし、彼もまたそれを妻に打ち明ける事で背負っていた物を下ろせたんじゃないかと思う。
主人公にしたってずっと引き摺っていた隊長の死を、ヤエルのところに向かう迄に対話した幻覚の隊長や、改めて見る隊長の最後を通して、そして記憶の底に隠していた父親の死のトラウマを経てやっと苦しむだけだったこの9年と向き合って、ちゃんとカウンセリングを続けつつやり直す事が出来るようになる。息子もいるし。

時系列がむやみに前後して分かりにくかったり、もうちょっと教えてよ~って事も色々あったけど最後は収まるところに収まったのかなぁって。ヤエルが言ったように、今となっては他人の感情のように思える とする主人公への気持ちも、怖くてたまらない とした最後のシーンもどちらも本当なんだろうし、あとは主人公の頑張りに懸かってるんじゃないかなー

ヒーローが飛びたつとき、ってタイトルはちょっといまいち分からんのだけど、悪くはなかった。
それにしても、向こうの人はみんな睫毛濃くて長くてクルンとしてて良いなあ~。
ふじこ

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