チーズマン

ジ・オフィス シーズン7のチーズマンのレビュー・感想・評価

ジ・オフィス シーズン7(2010年製作のドラマ)
5.0
ついにマイケル・スコットがダンダー・ミフリンから去ります。

シーズン1の時点では、まさかこんな寂しい気持ちになるとは思ってもみませんでしたよ。笑
このシリーズの面白いところは、いつもは本当に下品でくだらないバカ騒ぎが繰り広げられているのに、各シーズン共通して本当に大事なシーンでの演出はとても“上品”なんですよ。
マイケル最後の日のエピソードも、例えばこれぞ御涙頂戴のようなウェット感を抑えてむしろいつも通りのオフビートな笑いを貫き通し最後の最後に画一発で涙腺を崩壊させる、この上品さですよ。
エピソード通して、泣かせようとする感動セリフなんてほとんど無いのに、ですよ。

この7シーズンのオープニングを飾る、職場紹映像みたいなやつが各キャラクターの特徴を活かした最高にハッピーなものに仕上がっていてそれだけで満足です。
ちなみにこの映像がいったい何の為の何なのか説明されないので全く分かりません。笑
もちろん最高です。

大人のコメディなので、基本的に皆それぞれに自分勝手に振る舞い(主にマイケル)、それが面白い事態に発展していくのですが。
その中で浮かび上がる各キャラ達の汚い側面やズルい側面、変わった側面や面白い側面、たまに垣間見える優しい側面や尊い側面など、シーズンを重ねてお馴染みの面々の掘り下げもいよいよ極まってきたなと思います。

さっき並べてきた側面を全部ひっくるめたら、これってほとんど人間讃歌ともいっていい作品で、自分が思い描いたような仕事じゃない所で働くのは大変だけど、それでも捨てたもんじゃない瞬間も結構あるよな、という社会の大半の人々の何かをすくい上げるような素晴らしいコメディでした。
とか言うとちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、でも、シーズン7まで見たような猛者たちなら分かるんじゃないかと思います。
登場人物のみんなを好きになると思うんですよね。
あくまでコメディとして登場人物は誇張して描かれていますが、べつにすごく良い人もいないし、すごく悪い人もいない、だいたいの事はタイミングと状況、これは良い意味で言いますが「まあ人間なんてこんなもんだよな」とポジティブになれる作品でした。

このドラマをこんな好きになるとは思ってもみませんでしたが、見て良かった。
この最低なコロナ禍の自粛生活に唯一感謝できることがあるとすればこれですね。
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