チーズマン

ファルコン&ウィンター・ソルジャーのチーズマンのレビュー・感想・評価

4.2
エンドゲームの最後でスティーブから盾を託されるサムの姿を見て確かにグッとくるシーンではあったものの、終わり間際のワンシーンで急に託されてもサムもさすがにちょっと荷が重過ぎるだろうと思ってました。
とは言えどう考えてもあれは断れる雰囲気じゃないだけにさぞかし内心困ってるだろうなと、なんとも神妙な顔をして盾を受け取るサムの姿を覚えてます。笑

なので、いきなり第1話目の冒頭にサムが自ら盾を手放す場面から始まるのはすごく腑に落ちるものがありました。

真の意味でキャプテンアメリカとして盾を持つ、そこに至るまでの溝をサムの内面や行動そして周囲の期待のされ方の変化などで埋めていくまでのプロセスを地道にじっくり描く作品でした。
ドラマシリーズとして作られる意味がちゃんとあったと思いますね。

そのプロセスを見届ける相棒がかつてのスティーブの親友のバッキーなのもとても重要だと思います。
2人のバディ感も観てて楽しかったですね。

しかもそのバキ翼のライバルとして出てくるのが、スティーブの表面上をコピペしたような新しいキャプテンアメリカとその相棒の黒人戦士という過去の鏡みたいな存在なのが良いアクセントになってます。

そして面白いことに結局そのどちら側も、スティーブ・ロジャースがいなくり“象徴”としてだけ残された盾に各々が振り回されることになります。
スティーブに比べればどちらも現代アメリカの普通の人間というのがやはり重要で、新しいキャプテンアメリカはそこから出てくるから意味があり、それは凄く大変な道のりだということです。

ドラマ全体のトーンは『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』から始まる一連のポリティカルサスペンス風味を引き継いでいる感じです。
なのでアクションシーンも基本的に生身の格闘シーンが多く、見応えのあるものも幾つかありますがドラマ全部のアクションがそうかと言われると平凡に感じてしまうものも結構ありましたね。
やはりキャプテンアメリカならばルッソ兄弟みたいな独創的なアクションをつい期待してしまいます。

あと今回の一応メインの悪役とされる集団のフラッグスマッシャーズがちょっと華としては薄いかなと思いますね。
カーリー・モーゲンソウ以外のメンバー達が没個性なのがもったいないと思いました。

というかそもそも今回はサムの成長のプロセスとバッキーの過去の禊ぎがメインとなっているので、それに関連して悪役っぽい存在があっちこっちに居るのでエンタメとしての分かりやすい悪者退治要素は薄いですね。
良くも悪くもその辺の盛り上がりはあんまり印象に残らない感じです。

とは言え、これを観ればサムとバッキーが好きになるはずだし、皆が納得する形で新しいキャプテンアメリカが活躍する映画に繋ぐ意味でもこれは重要な作品でした。
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