オリオンの息子

モンタルバーノ~シチリアの人情刑事~のオリオンの息子のレビュー・感想・評価

4.0
もう10年以上になるだろうか。
CATVにて放映されているのをほぼ全部見た。

感想はと聞かれると、凄く好きだとしか言いようがない。

イタリア最南端でも、もうアフリカに近いシチリアの街ヴィガータ(架空の街)でおこる事件に取り組む刑事というより、田舎町の警察署長が主人公のドラマ。

なんといっても、モンタルバーノの人間性が素晴らしい。
地元の名家出身(らしい)の中年の小太りのはげのオッサンで、ITには滅法弱く、クルマには全く興味が無く、イタリア人らしく女性大好きだが、いざというときは弱気な主人公が実に魅力的である。

遠距離の彼女がいるが、ずっと独身暮らし、毎朝の日課が家の前の地中海で泳ぐこと、ちょいと腹が出てとても颯爽とはいかないスイミングからドラマが始まることが多い。

警察署の面々がこれまたユニーク、誰もかれも個性的、いずれも声が大きく、身振りが大げさなことだけは一致している。
そのなかで面白いいエピソードは、やたら銃を使いたがる警官に向かってモンタルバーノが言い放つ、『お前はアメリカ映画のカウボーイか!』

いつもモンタルバーノの推理が冴えわたるわけではなく、アクションに至っては最悪、犯人を追いつめるシーンでは誰か間抜けな警官が銃を暴発させる有様。
しかし、このモンタルバーノ、女性、子供、難民といった生活弱者には優しい、毎回のドラマエピソードも結構出来不出来がある。
でもこの優しさだけはぶれない、これがこのドラマの人気の秘密であろう。