被害者家族が加害者家族を思い、加害者家族が被害者家族を思う
このドラマを面白いドラマという立ち位置に置いて良いのか分からないが、少なくとも日本で10本の指に入る良質なドラマだった。
登場人物が抱える複雑な心情を1話1話かけて描く脚本に感動する。「人を殺める」という行為がいかに愚かなのか。被害者が加害者を殺したいと思うけど、その一線を越してはいけない難しさ。
加害者家族も悪いのは当事者であり家族だって被害者のようなもの。こういう風潮がいかに相手を苦しめるのか、見てて心が痛む。
人は自分の行動を正当化する。それが犯罪者でなくても。よくある犯人が更生する展開ではなく、どんどん狂気が増す感じがこのドラマを惹き付けた。
キャストの中では風間俊介が圧倒的にエグかったけど、物語を動かしたのは満島ひかりと大竹しのぶだった。
満島ひかりは坂元作品によく出てるが、華奢な体型もあってか、こちらに伝わる悲壮感が半端じゃない。兄を想う複雑な気持ちがこちら側によく伝わってきた。
大竹しのぶは風間俊介同様の狂気さがある。ネジが1つ外れた感じというか、スイッチの入る瞬間が怖い。舞台上の女優の怖さってこういうことなのかもしれない。