YasujiOshiba

イントゥ・ザ・ナイト シーズン1のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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太陽光というのは強烈なエネルギーだ。地上の生物は進化の過程で、この激しい放射線の降り注ぐ日中を、なんとか生き延び、あわよくば、そのエネルギーを利用しようとしてきた。けれども太陽の活動には周期がある。

その活動周期が、ある日突然におおきく触れて、陽光がとんでもない破壊力を持ったらどうなるか。あらゆる壁を通り抜ける電磁場によって、生物は細胞内の分子を激しく揺さぶられ、発熱し、生命活動を停止する。地上のあらゆる場所が、電子レンジに入った状態になってしまう。

地球を襲ったそんな黙示録的な現象。それを生き延びるには、地表で陽光のとどかない場所へ逃げ続けるしかない。でも、どうやって?追いかけてくる太陽から、いつまでも逃げ続けるなんてできるのか?できないことはない。そう、たとえば旅客機で「夜の中へ」(Into the night)と飛び続ければよい。では、いつまで飛び続けるのか?


ベルギー製作のネットフリックスオリジナル。英語がメインだけど、フランス語、フラマン語、ロシア語、アラビア語、イタリア語がとびかう、いかにもEU共同体らしい映画。

ぼくとしては、NATOのイタリア人少佐テレンツィオが繰り返す汚いイタリア語にニヤリとしながら、インスタグラムのインフルエンサーという設定のイネスがイタリア系で、突然二人がイタリア語で罵り合うところなんかが楽しかったかな、テレンツォを演じたステファノ・カッセッティはけっこうキャリアのあるイタリア人俳優みたい。でも印象に残ったのはイネスを演じたフランスの女優さんアルバ・ガイア・ベッルージ。デンマークとイタリアの血を引く顔立ちはその大きな瞳が印象的。

なぞのトルコビジネスマンのアヤズを演じた俳優は、ファティン・アキンの『太陽に恋して』(2000)などで見かけた Mehmet Kurtuls (メフメト・クルトゥルスでいいのかな?)。このトルコ系ドイツ人のメフメトさん、ずいぶん貫禄も出て、いい役者さんになったな。
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