てっちゃん

日本沈没ー希望のひとーのてっちゃんのレビュー・感想・評価

日本沈没ー希望のひとー(2021年製作のドラマ)
4.0
TBS「日曜劇場」はあの「半沢直樹」に代表されるヒット作を生み出していますが、これまで何度も映像化されている「日本沈没」をどう料理するのか、興味深々でした。(私たちの世代では、終末思想、パニック映画としての「日本沈没」ですから)

本作、本当に上手くアレンジしたドラマになったな、というのが感想です。(小松左京が描きたかった「日本人が国を失い放浪の民族になったらどうなるのか」に及んでいるところなども)

まずは「地球温暖化」という今どきのテーマを中心に据えたこと。次に関東沈没、日本沈没の二部構成にしたこと。これまでの映像化では、まず地方での異変が起こり、その後の「関東大震災」が最大の見せ場だったんですが、いきなり関東の危機、首都の危機を持ってきたのは(主に関東圏の)視聴者を掴んだと思います。それに伴う官邸内での権力闘争の現実感、「関東復興支援」「がんばろう東京」などのメッセージもかなり刺さるものでした。(このあたりは「シン・ゴジラ」にも通じてますよね)

そして「日本沈没編」。ここでも特撮を駆使した、日本沈没の惨状ではなく、市井の人々の複雑な想い、絶望と救いを描き、さらに日本人移民の受け入れに対する世界各国の反応を描いています。(各国の受け入れに対しての反応は、ややファンタジー「楽観」かな、とも思いました)

最終回で驚いたのは、「感染症」を持ち込んできたこと、明らかに「コロナ禍」を意識した展開。(これもまた「地球温暖化」に結び付けた離れ業)もはや沈没より、感染症の方が深刻度が高いシーンでしたよ。
これまでにない、田所博士という「変人」を、創作した香川照之を始め、若手俳優陣も好演。掘り出し物のドラマでした。世界での反響も気になります。

「現実には人類の事業はすべて地球の活動に影響を及ぼしている。環境を無視してきたツケが回ってきたんだ」
「正しいことをした人間や弱い立場の人間が理不尽な思いをする。そういうのが私許せないんです」
「結局俺が見ていたものは、株価と為替の数字だけで国民一人一人の顔は見えていなかった」
「もっともっと恐れた方がいい。人間はこの地球があるからこそ生きていけるんだ」
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