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母性のaymのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.8
「ある男」から梯子してみたもので、色々引きずっているところがあったが、こちらの映画の方が本命だった。この映画の最大の見どころは高畑淳子の奇声。要介護になってるところすご…てなった。大地真央は最初悪者の視点で見てしまってたけど、まともな感覚の人だったっぽい。ただ火事のシーンの大地真央が愛を語ってるところ「そこに愛はあるんか?」がチラついて…そもそも時代背景に昭和を感じた。湊かなえさんの親世代の話なのかな?あと、映画を観客に理解させるためには必要だったのかもしれないけど、永野芽郁の役柄が少し説明的すぎるように感じたのと、JUJUの歌が合ってなくて残念だった。醒めるからやめていただきたかった。

以下、関係ない話
先週の初耳学で戸田恵梨香が被災した時のエピソードを話していた。「家族(母・生まれて間もない妹)と寝ていて阪神大震災が起きた時、父がわたしたちの上に覆いかぶさってくれた(その上にタンスが落ちてきた)」「その時わたしも家族を守ろうと思った」みたいな話をしていた。それを聞いてわたしも、阪神大震災の時のことを思い出した。わたしは当時小学3年生で、父・母・弟と川の字で2階の部屋で寝ていた。家が揺れた瞬間、父はわたしらには目もくれず自分の部屋に走っていった。我が子より自分のPCの方が大事な人だとわかった。戸田恵梨香の話を聞いて、ああ普通の父親は家族を本能的に守るものなのだ、と思った。要はわたしの父には父性が皆無というか、幼児性が高い親の元で生まれた自分ガチャ失敗、残念…と考えるしかないのであった。

同じ番組でこの映画について、戸田恵梨香は「完全に理性でお芝居をした」と語っていた。「感情がついていかず、わからなかった」というようなことを言ってた。戸田恵梨香は両親をとても尊敬しているらしい。

「母性」というタイトルを見るだけで「母娘問題」を取り扱うのだなとすぐわかる、良いタイトルだと思った。ただ蓋を開けてみると、一筋縄で語れる母娘問題ではなく、主人公の幼児性が隠れている気がした。母性が「ない」のではなくて幼稚なだけな気がしたけど、母性がない人もいるのかな。わたしはプロの独身で子どもいないから母性語る資格ないのかもしれないけど、愛犬に対してこれが母性か…と考えたことがある。愛おしくてたまらないし惜しくない。血のつながりとか、産んだとか産んでないとかじゃないと思っているけど、これは勘違いなのかな。他人の子でさえ愛おしく思うし、子どもという生き物がとても尊く感じるけど、もっと自分の子どもという存在は複雑なものなのかな。確かに子どもが好きじゃない・嫌いという人の話を聞いたことがあって、全然わからないと思ったので存在してはいるのかも。ただ、無条件に愛されないというのは子ども的にはキツいので子を持たないでいただきたいと思ってしまった。わたしも両親から無償の愛情めいたものは感じた記憶がない。ずっと体裁のために縛られている感じだった。世間の目には「愛情を持って育てられている子ども」と映っているような感覚はあったけど、条件付きだったし、やっぱり子どものうちは大人に喜ばれたいという一心で自分の気持ちを母の思想で上書きしてたと思う。大人になって自分が何も決断できない頭になっていることに気づいてヒいた。呪縛を解くのにとても時間がかかった。未だにそれが嫌だと思っていることに気づいても、周りに同調することがやめられない。母親に支配される形で育てられたのに、永野芽郁みたいに自分の感情を示せる人間になれるものなのかな?と疑問を抱いた。そもそも、戸田恵梨香(ルミ子)の献身性は病的で、自傷行為に思えた。大地真央の育て方は決して間違っていないはずなのに、間違っているように見えた。

母娘問題に出てくる父親の無責任男感はパーフェクトだった!

追記
使用フォントがよかった。何フォントかわかったらまた追記します
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