さくぞー

断捨離パラダイスのさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

断捨離パラダイス(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

三谷幸喜や伊丹十三、近年から上田慎一郎系統の群像劇コメディ。往年の名手の作品と比べ細かい部分でやや弱さはあるものの、コメディとドラマのバランスが良くて面白かった。ゴミ屋敷の話なのでもっと暗い話が出るかと思ったが丁度よかった。
KAYANOFILMは『夜を越える旅』が合わず迷っていたが、その作品で惚れた中村祐美子様が出るというだけで観たが現時点で2023新作ベスト入りする大正解だった。連ドラでも見たい。

往年の名手の作品に比べ弱いとは書いたが、キャストなどは全く負けていない。めちゃくちゃ有名な人は泉谷しげると武藤十夢くらいだが、主役の篠田諒をはじめ、全員が個性的なキャラクターを愛嬌抜群に演じててとても好きになった。というか有名になれるかは運で実力だけならゴロゴロいるんだよなあ。だからこそ流行りのホラーモキュメンタリーとかを楽しめるから良い点もあるんだけど。
とにかく社長が良い。軽いんだけど、中身はしっかりして頼れる雰囲気も出ているのが良い。
こういう組織が主役の作品で、それに入りたいと思わせるだけで勝ち。
弱い点はピアニスト要素や律稀の家の問題、金田さんの奥さん、先生のモンペ問題あたりが処理されなかった点のみ。ここもまとまってたら☆4.8くらいはいったかも。

物語序盤をキャラが強い社長で引っ張り、後半では成長した律稀をしっかり主人公として見せる構成が良い。律稀が全エピソードに出てくるので説明せずとも場数を踏んで成長しているのを観客が想像できるようになっている。
順番的に影が薄くなりがちだが、ボンくんのエピソードが好き。律稀の悲鳴のような面白いシーンに加え、ゴミ屋敷の主の事情がしっかり出てくるなどターニングポイントにあたる章だと思う。タイマー消して食い続けるの最高。
長回しのエンドロールや、最後にリアリティありすぎるCMで終わるのも良かった。最後に先生と青原さんの絡みがあるなど、群像劇コメディのツボをちゃんと押さえてる。

映像:======A
脚本:=====B
編集:======A
俳優:=======S
人物:=======S
音楽:======A
音響:=====B
【MVP】市木八吉
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