さくぞー

青春18×2 君へと続く道のさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

期待値上げすぎたなあ。内容より時の旅人が端的で刺さった。
どうしてもパストライブスとの日米対決感があるが、共通項は見出せるが差別化できている。主役の男の抱える後悔は同じだが、その後がより現実的な共感性を強めていくパストライブスと、物語的に積み上げて感動させる本作といった感じ。しかし実際にはパストライブスがフィクションで本作が脚色作品なのが面白い。

現実的か物語的かを分ける部分として、主人公がキモいかどうかが大きいと思う。ジミーは可愛いがヘソンはキモい。どちらも心を揺さぶる共感性は高く、どちらが悪いとかは全くないが、本作の方が支持されるのは何となく分かる。

似て非なる両作だが、ともに現在の年齢が36歳だったりと切っても切り離せない因縁めいたものを感じた。
ストーリーは大筋のみだとよくある悲恋ものといった感じだが、圧倒的なキャストの存在感・丁寧な心情描写・エピソードの順番や思わぬところで分かるタイトルのダブルミーニングなど、細かな演出でハイレベルな作品へと引き上げられている。個人的に「4つ下のシャイなボーイフレンド」がさらっと言われて反復されないところと、カメラの切り返しで横からアミの仏壇が映るとこは最高だった。
漫画家の甲斐谷忍先生がXで言っていた「漫画はおもんない話をおもろく見せる演出力が一番必要」というのが腑に落ちた。おもんない話というと過激だが、要するに「どんなストーリーもやり尽くされてるんだから、演出などで差別化しないといけない」ということだろう。そういう面で素晴らしいと思った。

反面、ラストでアミの幻影が語りかけてくるところはやり過ぎ。『愛にイナズマ』の親父の霊体のとこと同じ不満がある。幻影・霊体として映るのはいいけど生きてる人間に認識して欲しくない。本作の場合はジミーの強い想いが見せた幻影感があるから、ジミーが認識するのは良しとして、話さないでほしかった。元から幽霊モノとかならともかく、現実路線の話で関わり合うのは違うかなと。

画面のトーンが過去が明るく現在は暗いという手法自体はこれまでもあったと思うが、過去と現在の尺が同じくらいの長さがあるので強く印象に残る。
シュー・グァンハンが素晴らしい。18年前がマジで18年前に見える。これはメイク・ヘアスタイルの賜物でもある。また、演技面でも日本語の片言具合がマジでリアル。大学時代の留学生を思い出した。そして現在の少し片言感はあれど完全に意思疎通できる感じも完璧

岩井俊二作品、ミスチル、桃鉄など実在するモノをどんどん言及して見せていくところも好き。

別れの時にスーイーさん越しにアミにハグする店長のコンプラ意識の高さがなんか面白かった。
俺も陽キャの道枝くんとLINE交換したい。
電車に乗るから青春18切符ネタもあるかと思ったけど幸次くんが18らしいくらいか。

映像:======A
脚本:=====B
編集:====C
俳優:=======S
人物:=======S
音楽:=======S
音響:=====B
【MVP】ジミー
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