シネラー

ONE PIECE FILM REDのシネラーのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
4.0
連載が25周年を迎えた上に
最終章へと進み始めた「ONE PIECE」
の劇場版最新作を鑑賞。
色々と賛否ある意見も知りつつ、
"ストロングワールド"振りに劇場で
鑑賞したONE PIECE映画だったが、
個人的には一番好きと言える
ONE PIECE映画だ。

物語としては、
ルフィの憧れであるシャンクスの娘で、
世界中から愛される
歌姫ウタのライブが開催され、
ルフィとウタが再会を果たしながらも
世界を揺るがす事件へと発展していく
内容となっている。
本作の実質的な主人公はルフィではなく、
本作のヒロインでもあるウタであり、
彼女の純粋過ぎる願いや抱える葛藤が
物語を突き動かしていくと言えるだろう。
ルフィの幼馴染で
父親にシャンクスを持つウタだが、
人々からの神格化された歌姫でありながら
自身の過去に苦しんでいる人物描写が
とても魅力的で心苦しかった。
ルフィとウタの親交に関しては、
幼少期が微笑ましく、
成長後だとどこか寂しさもあり、
最後のウタのルフィへの投げ掛けは
涙腺を刺激する位に良かった。
そのウタの歌唱パートは
Adoが担当しているが、
特にAdoのファンでもない自分でも
楽曲の数々は、
作中の展開と合っていて良かった。
最初の楽曲である「新時代」から
アニメとしての華やかさが満載で、
CGも上手く使用していると思った。
本作の見所でもあるシャンクスだが、
登場しても限られた出番だろうと
個人的に勘ぐっていたのだが、
良い意味でその予想を裏切り、
劇中で申し分なく実力を見せている
のがとても嬉しい部分だった。
戦闘場面は前作の"スタンピード"より
少ないと感じるが、
それでも麦わらの一味や赤髪海賊団が
前作以上にチームプレーをしていると思った。
そして、終盤にかけての
ルフィやシャンクスの戦闘が素晴らしく、
正に夢のような胸熱場面だった。
そして、エンディングでの映像を観ていると、
「ONE PIECE」がもうじき
完結してしまう事が感じられて、
寂しく思ってしまう部分だった。
いつものルフィの決め台詞も、
様々な意味で重みが増していると思った。

気になる点としては、
ウタの歌唱において全てが
必要な場面の楽曲ではないという点だ。
それに加え、
Adoの楽曲が苦手な人は当然として、
そのウタ自身も性格に一癖がある為、
好みは分かれると思った。
今回の騒動の全てが、
ウタに原因があるというのも
気掛かりに思う点の一つだ。
又、物語の構成として回想場面が
飛び飛びで多いと感じられた。

個人的にONE PIECE映画は、
厳つい巨漢の敵が登場して
ルフィ達が打ち破るというイメージで、
良くも悪くもマンネリな印象があったのだが、
本作はそんなイメージを打ち砕く
素晴らしいONE PIECE映画だった。
帽子の似合う男は一人前の証だ。
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