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メカゴジラの逆襲のシネラーのレビュー・感想・評価

メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)
4.0
『ゴジラ対メカゴジラ』に続き、
直接的な続編でもある本作も再鑑賞。
シリーズ観客動員数がワーストとなった
不名誉な記録も残っているが、
個人的に昭和ゴジラシリーズでも
かなり好きなシリアス色が強いゴジラ映画だ。

ブラックホール第3惑星人が
マッドサイエンティストの真船博士と結託し、
改修したメカゴジラ2とチタノザウルスを操り
ゴジラと人類に逆襲する内容となっているが、
何と言っても悲壮感の強い人間ドラマが
主軸となるゴジラ映画だ。
自身を理解してくれなかった世論への
復讐を誓う真船博士と
その過程で命を落としながら
宇宙人によってサイボーグ化して蘇った
真船桂が物語の大きな肝となり、
特に桂と主人公の青年との複雑な葛藤が
入り交じる恋愛劇が印象深かった。
真船博士を演じるのが『ゴジラ』(1954)
の芹沢博士から度々ゴジラ映画に出演し、
前作は善人の博士を演じていた
平田昭彦なのが対極的で面白くもあった。
物語前半は特にチタノザウルスの存在に
フォーカスされており、
後半からメカゴジラ2も加わって
猛威を奮っていくのだが、
久々の市街地戦による
メカゴジラ2の回転ミサイルの特撮は
凄く満足感もあって良かった。
それらに一体で対峙するゴジラだが、
チタノザウルスに熱線を放って
暗闇から登場したり、
子ども達が助けを呼ぶ声と共に現れる
ヒーロー的な描写が格好良く、
造形も『ゴジラ対メガロ』以降では
目が少し厳つい本作の造形が一番好きだった。
それでいて夕焼けの海に去っていく
姿には哀愁が漂っており、
昭和ゴジラシリーズの終焉として
感慨深いラストカットだと思った。

不満点としては、
ゴジラの出番が大きく少ない事が挙げられる。
劇中で登場となるのは映画の中盤で
2回目の登場はあっさり登場する為、
そこは濃厚な人間ドラマが
割りを食った部分だと思うところだった。
そして、そこが公開当時の子ども達から
受けなかった点だと言えるだろう。
又、不満点ではないのだが、
都市を破壊した怪獣で
名前を挙げられたのがキングギドラに
ラドンときてマンダという謎チョイス
には笑ってしまった。

初代『ゴジラ』(1954)から
ゴジラに関わった本多猪四郎監督が
最後に手掛けたゴジラ映画であり、
その監督の作風が前面に出た
シリアス味の強い哀しい映画だったが、
そこが本作の特色で好きな要素だった。
余談だが、
本作の劇場公開時の同時上映が
『サザエさん』や『アルプスの少女ハイジ』
といった作品達だったのは、
かなりの温度差を感じさせるところだ。
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