つう

ハケンアニメ!のつうのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
3.6
『興行が覇権どころか危険水域です』

アニメ製作会社を舞台に憧れだったアニメ監督に新人女性監督が土曜日の夕方の同じ枠で視聴率対決をするという物語になっています。

「君の名は。」でCGスタッフとして参加し、「水曜日が消えた」で中村倫也主演で初監督デビューした吉野耕平監督が辻村深月の同名小説を実写映画化。

主人公である新人女性監督役を吉岡里帆。天才と謳われる吉岡里帆が憧れるアニメ監督を中村倫也が演じる。

吉岡里帆が監督を務める劇中アニメにはサウンドバックにはTVアニメ版「若おかみは小学生」の谷東監督が担当しアニメーション制作は東映。中村倫也が監督を務めるリデルライトには「プリキュア」「ワンピース」で知られる大塚隆史監督が担当しアニメーション制作はProductionIGという2つのアニメの特徴を出すために2つの制作会社を起用するこだわりようでした。

序盤はアニメの制作の仕方を紹介しながら新人監督としての苦労と苦悩を描いていく。アニメの制作現場を知ってると序盤のアニメ制作現場のシークエンスが少し、ノイズ。魅せ方のテンポ感などや視聴率を同じ時間帯で競うというのはフィクションとしてはOKなのだが、他の部分はチョット、フィクションとしてはコラコラと言いたくなるのもチョット目立ってしまった。それでも、パワーと勢いはあるので後半になるにつれて作品に惹かれていくという魅力に溢れた作品だった。

特に吉岡里帆が演じる役が非常に良かった。どん兵衛のCMも含めて可愛らしさを売りにしている吉岡里帆が苦虫を嚙み潰したような表情などの喜怒哀楽を出した演技を発揮してて非常に良かった。「見えない目撃者」でもCMイメージとは違う強いキャラを演じていたのだけれど、今作はより感情の幅が広い役柄を上手く演じていた。敵対になる中村倫也も良い演技をしていたし。今回のハケンアニメでは監督同士の対決と同時にそれを支える2人のプロデューサーのお仕事モノとしても上手く描かれていました。

その他にも実際の声優陣も出演していて、そのメンバーがウマ娘のサイレンススズカ役の高野麻里佳や進撃のエレン役の梶裕貴、リゼロの高橋李依などが出演しているという感じで人気声優を揃えているのに…興収が初週ではTOP10にも入らないという結果。

劇中でアニメを観て貰う為にはカップラーメンとかイメージに合わないダサいタイアップしてでも目にして貰うという形で描かれているんだけど、実際の「ハケンアニメ」が認知されてないという皮肉な結果になってるので、頑張って欲しいですね。観たら応援したくなるっていう熱さのある作品になってるので。

近年流行ってる、クリエイターもの「映画大好きポンポさん」「サマーフィルムにのって」などが好きならハマれると思いますので、口コミで広がって欲しいなと思います。
つう

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