イバ

チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいのイバのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『チェリまほTHE MOVIE〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』鑑賞。

原作が好きで、ドラマも鑑賞。原作の流れを変えても伝えたいこと、大事にしたいこと、そして社会が見つめるべきものを丁寧に誠実に描いており、とても好きだった。
映画はドラマのその後の話を題材とするわけだが、現実世界の社会問題とどう向き合うのかが気になっていた。

映画では、恋人になった2人の様子をじっくり堪能できた。また安達の優しさと黒沢の思い遣り、家族の最低限だけども愛情のこもった言葉に泣いた。
作中、あるトラブルを通して、現段階で法律上婚姻を認められていない当事者たちが直面している問題にもちゃんと言及していた。
それを見て、全世代に理解が深まることを願ったし、その部分をちゃんと映画で描いてくれてよかったと思った。

難しい部分もあった。
キスシーンでカメラの角度をつけて、「キスしているだろう」という曖昧な表現にし、はっきり見せなかったことだ。
鑑賞時は「なぜはっきりキスしたところを見せないのか。同性同士だからなのか。キスシーンをはっきり表現しないことは不自然。表現しないことで逆に同性同士の恋愛を不自然なものとして扱ってしまっているのではないか」という印象をもった。
しかし鑑賞後「現在の日本では同性同士のキスシーンやベットシーンが描かれた場合、そこにばかり話題が集まってしまい、作品の中で扱っている現実問題に目が向けられなくなってしまうのではないか」と思った。
特に主演2人はドラマ放映後に注目度が上がり、マスコミが制作側が意図しない方向に話題を持っていく可能性がある。
そういうことを考えていくと、すごく残念だが、キスシーンをはっきりと表現しないことが作品で伝えたいことを伝えるためのbetterな選択だったのかもしれない…。
というふうに考えてしまった。こういう考えに行き着いてしまうのが自分自身とても残念だった。

いまはただ、この映画を観て #結婚の自由をすべての人に という考えが広まることを願います。
イバ

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