シネラー

RRRのシネラーのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.5
昨年の公開から観たいと思いつつ、
ようやく近場の映画館で公開してくれた
ので念願の劇場鑑賞。
期待通りの爽快アクションに
熱い友情という映画の楽しい部分を
詰め合わせたような映画だった。

1920年の英国植民地にあるインドを舞台に、
一族の娘を奪還する為に動くビーム、
大義を持って英国側の警察官となったラーマ、
互いの素性を知らずに巡り会った両者が
国を揺るがしていく活劇となっているが、
どのアクションもクライマックス
と言える怒涛の3時間に及ぶ熱い物語だった。
ビームは虎との力比べに
ラーマは押し寄せる大衆にたった一人で
対峙するという序盤の展開から引き込まれ、
ビームとラーマのどこかアナログで
無骨なアクションが全編通して描かれ、
どこか笑ってしまう位の爽快感ある
アクションがとても良かった。
やはり、近代兵器に対して
原始的な武器で敵を圧巻していくのは、
最高に心が燃えて格好良いと思った。
又、スローモーションや早回しといった
使い方も絵面として効果的だった。
物語に関しても、
ビームとラーマという交わっては
いけない両者が育む友情に、
それぞれが想いを寄せる女性がいる
という男心をくすぶる展開で良かった。
そして、いよいよ両者が素性を知って
衝突するのは心苦しくもあった。
実際のインド独立運動で活躍した
人物二人をモデルとしているとの事だが、
エンディングに関してもインドの
反英運動で活躍した偉人達が描かれるだけに、
インドの歴史を知っていると
より作品の理解や面白味も増すと感じる
ところだった。
後々の展開や場面の前振りや伏線
となっている描写も多く、
何気ない日常場面や会話も上手かった。
劇中で奏でられる音楽も素晴らしく、
パーティ会場でのビームとラーマによる
ナートゥダンス場面は最高で、
アップテンポな音楽による
キレキレのダンスは凄まじかった。
その場面がウクライナの
首都キーウで撮影されたのは、
何とも現実に物悲しさを感じる事柄だ。

微々たる不満点を言うならば、
中盤でのビームの言動に
ラーマが影響される描写があり、
言論的にラーマが民衆を突き動かしての
革命を成し遂げるのかと思ったが、
そんな展開が無かったのは
少し残念に思う部分ではあった。
又、物語が暴力的な勧善懲悪である為、
武力による解決を大義として振りかざす
ビームとラーマにしっくりこなかった。

これで終わりかなと思う場面が
何度か続いていく中、
最終的に濃厚に熱い展開からの明るい
結末を迎えるのは最高だった。
人類史で最も格好良い肩車を拝める
人生初のインド映画鑑賞だった。
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