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デューン 砂の惑星PART2のシネラーのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.0
PART1を履修したところで、
続編となる本作を劇場鑑賞。
前作よりも派手なアクションシーンや
しっかり物語も動く故に良かったが、
個人的な好きな度合いは前作よりも
下回る続編だった。

デューンの先住民フレミンと行動を
共にして戦士へと成長していくポールが、
因縁のハルコンネン家との
聖戦に挑んでいく内容となっており、
前作からの圧倒的なSF美術を
そのままに派手なアクションを加えた
続編となっている。
成長していくポールと惹かれ合っていく
チャニや他のフレミン達との交流は
嵐の前に力を蓄えていく修行の様で、
前作よりも比較的エンタメ性もあって
楽しんで観られる導入だった。
終盤での決闘場面も含めて
ナイフを用いた近接戦闘が
とても現実味ある作劇となっているのは
好感の持てる部分でもあり、
派手なアクションとしても
ポールとチャニが砲撃する場面や
サンドワームに乗るといった場面が
好きなアクションシーンだった。
相変わらずの情景を描く上手さもあり、
日に照らされる中で佇むポールや
決闘場面の絵面が格好良かった。

比較的アクションは多かったが、
終盤での戦争場面においては
場面が切り替わると唐突に戦況が
変わっているのが気になってしまい、
結果として全てが呆気なく思えてしまった。
ハルコンネン家へのリベンジとしても
展開があっさりしている上に、
最も敵側でキャラが立っていた
フェイドも対峙するのが本当に結末で、
個人的な因縁が皆無なのが残念だ。
又、宗教的な要素が前作より強まり、
その点が本作で最も乗り切れない部分だった。
ポールが救世主として担がれるのは
理解できるが、周囲の反応が短絡的で
個人的に気持ち悪く感じられた。
そこで前作から大きく役回りが変わる
ポールの母レディに関しても、
キャラクターが様変わりし過ぎて
一気に突き放されたようで嫌だった。
加えて、ポールの覚醒によって
本人の動向も大きく変容していくが、
それによって観ている側としては
主人公への愛着も消え失せてしまって、
今後の展開への関心も薄まってしまった。
別に単純明快な勧善懲悪ではないから
という理由ではなく、
登場人物で好きと言えるのが
限り無く乏しいのが原因に思う。

前作と合わせて考えると、
物語を観ていく映画というよりも
芸術的な世界観や映像体験を楽しむ
雰囲気映画だと思った。
それ故、SFが好きであっても
個人的には馬が合わない作品であり、
多くの好評も耳にする中で
人それぞれだと感じるところだった。
リンチ版の『デューン』は気になるので、
そちらはいずれ鑑賞しよう。
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