トンボのメガネ

RRRのトンボのメガネのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
3.6
ネタバレしても面白いと評判だったので、本当にネタバレをチェックしてから行ってしまった結果…面白かったけど、また見たいと思えるほどの感動は生まれなかった。

もしかしたら、予備知識ゼロでも同じ感想だったかもしれないが、やはり映画はネタバレなしで見ることが大切だなと感じた。

沢山の予算を費やしたゴージャスさと、俳優達の熱量は満点の映画だったが…古典劇のオマージュとは言え、コンセプトが時代遅れな印象が強く、少し乗れない自分がいた。

神話をベースにしているセンスも良かったし、北斗の拳ばりのアクションは圧巻で、俳優達のフィジカルの強さに、細胞から作りの違いをひたすら感じ続けた3時間。
長尺の映画を退屈することなく見れるという意味ではとても面白かった。

ただ、正義と悪を明確に定義づけて、やりたい放題の主人公達を見ていると…
うーん、これって一昔前のアメリカ映画で散々やってたスタイルやん。と少し白けてしまった。

どうしても、英国側の兵士やその他大勢の人々の死に目が行き、スッキリ爽快!という感想には至らなかった。

この手の勧善懲悪ものを見ると、数年前に流行ったトッド・フィリップス監督の"ジョーカー"を思い出してしまう。あの作品は、弱き者や虐げられた者の逆襲を描きつつも、そのメンタルを更に俯瞰して見ているような余白があって、個人的には味わい深かった。

力に対して力で応戦して勝つ!のは一見気持ちが良さそうではあるが、周りを見渡せば死体だらけ…森で捕まえた野獣達は、あの後どうなったのだろうか?

まぁ、ギャグ漫画に不要なツッコミが野暮なのは理解はしているのだが、見終わった後の会場に躍動した拍手が起こっていたりすると、若干の違和感を覚えてしまった。

映画の題材として散々、擦り倒されてきた争いのテーマが、犠牲を深刻に捉えて嘆いていたフェーズから、やられたらやっちゃうよ?容赦なくやっちゃうよ?と踊りながら笑顔で中指立てて行くようなフェーズに移行してきただけなのか?


インド映画だったら、「きっと、うまくいく」や「pk」の方が内容的にも良かった気がするが…単に好みの問題なのか?