尾崎きみどり

RRRの尾崎きみどりのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.5
八千年の歴史を持つ神秘の国インドでは矢だけではなく、虎も人もバイクでさえも飛び道具になるのだ!疑うなら確かめてみろ!さあその足を劇場へ!
と、煽りたくなるくらいにはインパクト大なシーンが満載の映画。皆が言及する並外れた技術によるナトゥーダンスの場面もすごいが、止め絵を多用したアクションシーンも一見の価値あり。インド映画ではお馴染み物理法則を無視した動きやダイナミック人助け、虎ミサイル、百発百中縦横無尽の弓矢、英兵ピタゴラスイッチ等、そうはならんやろ的描写が満載だった。意味分からん人は観るべし。突っ込み疲れて最終的にはすっげえな!次は何だろ!オラワクワクっすぞ!( CV野沢雅子)状態になりますよ。
エンタメに振り切った訳ではなく、物語としての背骨もしっかりしているので軽いながらも重厚な印象が残る。ラーマ、シータ、ビーム(ビーマ)と登場人物の名前を見れば分かる通り、この物語は神話を土台にしている。繰り返し歌で語られる英雄の在り方が示すように、神話は民族の意思と地続きであり、生き方そのものだ。誇り高く生きる意思を貫く、大切な者達を守る為に成すべきことをする。舞台は戦前のインドであるが、主張そのものは我々の困難な時代にも共通していると感じた。過剰なまでの表現であっても、真摯な感情は丁寧に描写されている。この点が今作を只のエンタメでは終わらない良作に仕上げていると思った。
尾崎きみどり

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