回想シーンでご飯3杯いける

恋は光の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
3.5
密かに注目している小林啓一による、現時点で最新の監督作品。今回も変わり者の若者達の姿を鮮やかに描いている。

男子大学生の西条は、“恋する女性が光って視える”特異な体質を持っている。本人は恋愛と無縁の生活を送っていたが、「恋というものを知りたい」と言う文学少女にひと目惚れし、そこから2人の奇妙な関係が始まる。

原作は漫画らしいのだが、今回も小林啓一節と言うべきなのだろうか、口語体でありながら文学的な味わいを持つ、独特の脚本で物語は進む。「恋の定義」を語り合う2人の交換日記を軸に進むドラマは、ロマコメでありながら、実は哲学的という、他ではちょっと見かけないテイスト。馴染めない人には、なかなか馴染めなさそうだけど、この個性は貴重だ。

最終的に3人の女性が絡む四角関係になっていくのだが、そうなると男が基本的に西条しか出てこないのが不自然に思える。彼が他の同年代の男とどう違うのか比較できるような人物を1人配置すれば良かったと思うのだが、原作との兼ね合いがあって無理だったのかも。