てっぺい

サバカン SABAKANのてっぺいのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.0
【さばく映画】
少年あるある満載の共感MAXな友情映画。登場人物全員善人で心もほっこり。夏の情景も至る所に描かれ、日頃のストレスや心のうっぷんを“サバ”いてくれる、真夏に見るにはぴったりの一本。

◆トリビア
○監督の金沢知樹は、2000年に「あいのり」で一躍有名になった“金ちゃん”その人。(https://www.oricon.co.jp/news/2238904/full/)
〇本作は元々、草彅剛が全ての登場人物を演じ収録したが放送されなかった“幻のラジオドラマ”。その音声は本作の予告編に収録されている。(https://www.excite.co.jp/news/article/Oricon_2242996/)
○そのラジオドラマが、草彅剛が「新しい地図」としての初仕事だった。(https://bunshun.jp/articles/-/56062)
〇竹本を演じた子役の原田琥之佑は、故・原田芳雄の孫で、祖父の映画の真似をよくしていた。(https://www.moviecollection.jp/interview/161657/)
○ 撮影の舞台は金沢監督の出身でもある、長崎県の長与町。完全オリジナル作品だが、監督の幼い頃の体験や、登場人物にもほぼモデルがいる。(https://www.fashion-press.net/news/81929)
○スシローとコラボしており、冊子版パンフレットや映画ビジュアルのサバ缶がスシロー限定店舗にて販売される。(https://www.edgeline-tokyo.com/food/95265)

◆関連作品
○「ミッドナイト・スワン」('20)
草彅剛がトランスジェンダー役を熱演。第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞受賞作品。本作同様、草彅剛所属のCULEN製作。プライムビデオレンタル可。
○「STAND BY ME」('86)
主人公が幼少期のひと夏を回顧しタイプライターを打つ点や、様々な点が本作と共通。もはや本作は和製「STAND BY ME」。プライムビデオ配信中。

◆評価(2022年8月19日現在)
Filmarks:★×4.3
Yahoo!映画:★×4.3
映画.com:★×4.1

◆概要
1980年代の長崎を舞台に、2人の少年が繰り広げる冒険と、それぞれの家族との愛情に満ちた日々を描いた青春ドラマ。
【監督】
金沢知樹(ドラマ「半沢直樹」の脚本などを手がけた脚本・演出家。本作で映画初監督)
【出演】
番家一路、原田琥之佑、尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、草彅剛、岩松了、村川絵梨、福地桃子、ゴリけん、八村倫太郎、茅島みずき、篠原篤、泉澤祐希
【主題歌】ANCHOR「キズナ feat. りりあ。」
【公開】2022年8月19日
【上映時間】96分

◆ストーリー
1986年、夏。斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生の久田は、夫婦ゲンカばかりだが愛情深い両親や弟と暮らしている。ある日彼は、家が貧しく同級生から避けられている竹本と、イルカを見るため海へ出かける。溺れそうになったり不良に絡まれたりと様々なトラブルに遭遇しながらも友情を育んでいく久田と竹本だったが、やがて別れを予感させる悲しい事件が起こる。


◆以下ネタバレ


◆友情
家族の世話で友達が作れなかった竹ちゃんと、その家を笑わなかった久ちゃんの間に生まれた友情。不良に絡まれ、命からがらたどり着く島で描いたイルカに乗る二人の絵。サバ缶寿司を食べながら語り合った夢。瑞々しく描かれる二人の友情が微笑ましかった。そして突然の別れ。二人がお互いをあだ名で呼び合った友情の始まりと、対照的に電車で別れるその終わりに、いつまでも叫びあった二人の“またね”が、どこか胸の奥底にしまっていた心の箱に響く感覚だった。大人になっても絶えなかったその絆、竹ちゃんのビジュアルを出さなかった演出もニクイし、サバ缶を通じて大人の久ちゃんの環境が少し前進するのもよかった。

◆全員善人
駅でボロ泣きの久ちゃんを優しく抱きしめた父にはさらに涙を誘われたし、二人の冒険出発時にそっと後押しをした姿も男らしい。竹原ピストルがどっぷりハマり役。子供も大人も本気で叩く尾野真千子も同じくハマり役だったし笑、しっかり竹ちゃんを抱きしめる母の優しさが印象的。海のピンチから二人を救い、家路を手配してくれた由香。不良のピンチから二人を救い、帽子のプレゼントで励ましてくれた金山。そして鬼のように見えて、とびっきり甘いみかんで送ってくれた内田のじじい。二人を囲む大人たちの全員善人なあたたかさには心底ほっこりだった。

◆郷愁
自転車さえあればどこまででも行ける不思議な自信があったあの頃。躍起になって集めたキン消し(自分の時代はビックリマン)や夢中だったアイドル。バレバレなほど見てしまう異性の体笑。ついつい共感してしまう少年あるあるが、積乱雲や青い海、木や風、汗、そんな真夏の情景と共に紡がれていく。自分も映像と共に過去にタイムスリップしているような、あたたかい郷愁の念にかられる感覚だった。まさにこの時期に見るのにぴったり、夏の瑞々しさを満喫できた映画でした。

引用元
https://eiga.com/amp/movie/96302/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/サバカン_SABAKAN
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